『SPY×FAMILY』ちちとははの“なかよし”にほっこり 楽しい描写の裏にあるスパイの孤独も

 テレビ東京ほかにて放送中のTVアニメ『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』。第9話「ラブラブを見せつけよ」では、ヨルの弟・ユーリが抱いた「本当に夫婦なのか」という疑念を晴らし、再び平和な日常に戻る。だが、ロイドはスパイとして、秘密警察の姉であるヨルを疑わずにはいられなかった。

『SPY×FAMILY』公式サイトより

 第9話の後半は、ロイドのヨルに対する「疑い」から始まる。秘密警察であるユーリの姉として、本当は自分に接近するために近づいたのではないか、全て嘘なのではないか、と疑うようになる。

 ロイドの心を読み、なんとかロイドの疑いを晴らさなければと感じたアーニャ。しかし、「はは は りょうり へた」と全くフォローになってない言葉をかけてしまう。ヨルはアーニャの言葉に傷つき、料理ができない自分は「妻失格」と落ち込んでしまった。

 そのうえ、ヨルはユーリの前でキスできなかった自分を引きずっている。「きっと私は全然妻を演じられていない」。伏目がちなヨルの表情からは、妻としての自分やロイドとの関係に煩慮している様子が伝わってきた。

 「はは」を疑う「ちち」と「ちち」との距離を感じている「はは」。2人の心が離れていると察知したアーニャは、通学バスに乗る際に心配そうに振り向く。「ちちとはは、なかよくしないとダメ」と、2人に伝えた。

 だが、スパイ・黄昏はヨルへの疑念が晴れるまで身辺調査を続ける。ヨルに仕掛けた盗聴器で職場での会話を盗み聞きし、郵便局に向かうと知ると、ロイドも動き始めた。

 ヨルが郵便局を出ると、突然「秘密警察」を名乗る2人組の男に声をかけられる。2人の正体は変装したロイドとフランキーなのだが、ヨルは知る由もない。「拷問」「自害」など不吉なワードでヨルを追い詰めていく。

 最初は困った様子のヨルだったが、フランキーが近づいてきてからは表情が変わった。触れようとしたフランキーの腕を掴むと、ものすごい勢いでねじ伏せる。そして「弟も夫もとても優しくて善良な市民です」「もし彼らに不当な危害を加えようとおっしゃるのなら、たとえあなた方相手でも、私、容赦いたしません!」と力強い声で伝えた。

 家族を守ろうとするヨルは、いつも強い。泣きそうな表情で「妻失格」と悩んでいるヨルと同一人物とは思えない。声も、目つきも、姿勢も変わる。家族を守るため、「仕事」で培った強さで相手に立ち向かう姿は、毅然としていて、かっこいい。

 料理ができなくても、「理想の妻」とは遠くても、ヨルには家族を守る「強さ」と「覚悟」がある。それだけで十分なのだ。

 その様子を見て、黄昏の疑念も晴れたようだ。スパイ容疑は「誤認だった」とし、ヨルを解放した。

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