俺たちの市原隼人が帰ってきた! 『ヤクザと家族 The Family』にみる俳優としてのキャリア

俺たちの市原隼人が帰ってきた! 『ヤクザと家族 The Family』にみる俳優としてのキャリア

 俺たちの市原隼人が帰ってきた! 『ヤクザと家族 The Family』の冒頭のシーンを観て、思わず胸が高鳴る。映画の舞台となっている1999年当時の不良スタイルに身を包み、スクーターを走らせる姿。リアルタイムで彼を追ってきた人間としては、なんとも感慨深いものがある。この手のキャラクターは、新人俳優時代の市原が得意とするところだった。そんな本作では、彼はこの若者の“その後”まで演じている。市原が体現する一人の男の変化には、彼の俳優としてのキャリアが浮き出て見えてくるはずだ。

 “イッチー”の愛称で親しまれる市原といえば、ちょうどこの1999年頃から仕事をはじめていたようである。そしてこの数年後から、いわゆる不良役や、“やんちゃなアンちゃん”役を数多く演じてきた。1990年の生まれであり、彼より少しだけ年下の筆者はもちろんのこと、同世代の人間にとっての市原とは、まさにヒーローのような憧れの存在ではないだろうか。

 2000年代の日本映画を代表し、いまの若手クリエイターの多くに影響を与えた映画『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)で主演を務めていることは広く知られているが、やはりやんちゃな役柄の方が印象には残っている。ドラマ『ヤンキー母校に帰る』(2003年/TBS系)や映画『偶然にも最悪な少年』(2003年)、『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』(2008年)などなど。そんな彼のキャリアのなかでも代表作としてパッと浮かぶのが、『WATER BOYS2』(2004年/フジテレビ系)と『ROOKIES』(2008年/TBS系列)である。市原が連続ドラマ初主演を飾った前者は、最終話にて視聴率22.8%をマーク。これを機に彼の顔は、一気にお茶の間に知れ渡ったことだろう。そして後者もまた最終話にて、最高視聴率の19.5%を叩き出した。ポジションとしては準主演にあたるもので、主演の佐藤隆太と同様に、市原も作品の顔となっていた印象がある。『WATER BOYS2』や『ROOKIES』が放送されていた当時の筆者は学生だったが、学校へ行けばこれらの作品の話題で持ちきりだったことをよく覚えている。

 しかしそんな市原も、いまでは30代。年齢を重ねるにつれて印象は変わりつつあった。『明日の君がもっと好き』(2018年/テレビ朝日系)での素朴で誠実な青年役や、架空戦記大作『空母いぶき』(2019年)での頼れる飛行隊隊長役などを好演する一方で、『喝 風太郎!!』(2019年)や『劇場版 おいしい給食』(2020年)などの奇想天外かつ型破りな作品で主演し、笑いを獲得。『無限の住人』(2017年)で極道者を演じた姿も記憶に新しいが、キャリア初期の頃とは違い、一つのイメージに囚われない柔軟な俳優活動を展開させている印象なのである。

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