『正直不動産』男女格差に切り込む根本ノンジ脚本の切れ味 急展開を迎えた永瀬の恋模様も

『正直不動産』根本ノンジ脚本の切れ味

 月下(福原遥)と花澤(倉科カナ)の一騎討ちが描かれた『正直不動産』(NHK総合)第9話。月下は永瀬(山下智久)の力を借りずに花澤に立ち向かう。登坂不動産に入社してから今日までの月下の成長が顕著に感じられる放送回となった。

 富士山が見える家を買いたいという島村夫婦(金田明夫、手塚理美)を担当することになった月下。時間をかけながらコツコツと条件に合った物件を探そうとしていたが、すかさずミネルヴァ不動産の花澤が客を奪いにくる。

 花澤がその客に提案した物件からは確かに富士山が見えるものの、3年後には近くにタワーマンションが建ち視界をふさいでしまう。月下はそれを知っていたからこそ物件を候補から外していたのだが、花澤は事実を隠して言葉巧みに契約させていた。さらに客都合のキャンセルなので手付金は返金しないという。

 月下はこの件に関しても過去の裁判の判例を用いてしっかりと反論。なんとかして花澤から客を守ろうとしていた。だが、結局島村夫婦は花澤の紹介した物件を契約することに。それは、花澤がこのマンションを眺望だけでなく、島村の息子夫婦の子育てにまで配慮して薦めていたからだった。花澤に完敗し落ち込む月下だが、永瀬は「月下には月下のやり方がある」と優しく慰める。

 成長して頼もしくなった月下は、ついに花澤と戦うまでに。契約には至らぬものの、過去の判例を用いて花澤に切り返すなど、カスタマーファーストの信念を貫いた。永瀬がいないところでも自らを信じて立ち向かう月下の姿は、いつにも増してキラキラと輝いて見えたことだろう。月下を演じる福原遥も、いつも以上に気合を滲ませた芝居で頼もしさを滲ませる。コロコロと変わる可愛らしい表情はもちろん、仕事に立ち向かうキリッとした表情もまた魅力的に演じることのできる役者だと感じた。

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