三谷幸喜×WOWOWならではの試みも 瀧本智行、廣木隆一ら映画監督の名作ドラマ6選

映画監督が手掛けた名作WOWOWドラマ6選

三谷幸喜のワンシーン・ワンカット ドラマ

『三谷幸喜「short cut」』

 映画監督を起用したドラマが多数作られているWOWOWだが、中でも最もユニークな試みだったのが、『三谷幸喜「short cut」』と『ドラマW 三谷幸喜「大空港2013」』である。

 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)の脚本が話題沸騰中の三谷は舞台演出、映画監督はもちろんのこと、『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)での司会など幅広いジャンルで活躍している。

 そんな三谷が脚本・監督を担当したのがこの2作。どちらもワンシーン・ワンカットで撮られた異色のドラマとなっている。

 『short cut』は、中井貴一と鈴木京香が演じる結婚10年目の冷めきった夫婦が、山道を歩く場面からはじまるコメディドラマだ。112分、長回しで撮られた夫婦が山道をさまよう様子は、オールロケで撮られた舞台劇を観ているようである。

『ドラマW 三谷幸喜「大空港2013」』

 一方、『大空港2013』は松本空港を舞台にした群像劇。飛行機が天候不良によって急遽着陸した松本空港に取り残された田野倉家の家族とその恋人や愛人、対応に追われる空港スタッフ、空港からマークされている詐欺師の偽パイロットといった複数の登場人物の人間模様が交差していく。

 本作も長回しのワンカットで進むのだが、面白いのはカメラの動かし方。例えば人物Aを追っていたカメラは、AとBが会話した後、別々に別れると、今度はBの方を追っていくという形で撮影対象が切り替わっていく。『ER緊急救命室』などの海外ドラマでよく見る手法だが、これを100分ワンカットで見せていくのだから目が離せない。

 どちらも、三谷が得意とする明るいコメディとなっており、観終わった後、幸せな気持ちになれること間違いなしだ。

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