【ネタバレあり】『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』トリビア解説
※本稿には『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のネタバレを含みます。
今回はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(以下、『MoM』)を観た方限定のトリビアをご紹介したいと思います。本作におけるサプライズは物語の中盤に登場するイルミナティと、エンドクレジットのシーンに登場する紫の女性(演じるのはシャーリーズ・セロン!)でした。まずは、ここを解説しましょう。
実はイルミナティ(illuminati)というグループはコミックにも登場します。メンバーは変更がいくつかありましたが、アイアンマンことトニー・スターク、ドクター・ストレンジ、X-MENのリーダーであるプロフェッサーX、海の超人サブマリナーことネイモア、インヒューマンズのリーダーであるブラックボルト、そしてファンタスティック・フォーのリード・リチャーズの6人です。
大雑把に言うと、なにか重要なことが起きた時はまずこの6人で方針を決めてしまおうという集いです。なので“組織”というより、ヒーロー同士でネゴシエーションする“集まり”みたいなものです。「ハルクを宇宙に追放してしまえ!」みたいなひどい決定をしたこともありました(実はコミックでハルクが宇宙に追放された後のエピソードが、映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』で一部流用されています)。
さて、『MoM』ではMCUバージョンのイルミナティが登場。別バースにS.H.I.E.L.D.やアベンジャーズ的な組織として、イルミナティがあったと説明されます。しかもこの施設を守る警備ロボットはウルトロン! つまりこのバースでは、ウルトロンは人類に反乱を起こさなかったのですね。
MCU版のイルミナティの面子を、一人一人紹介しましょう。まずは、モルドー(キウェテル・イジョフォー)。ストレンジの兄弟子で敵となったキャラクターです。映画での説明では、もともとストレンジが発起人でメンバーでしたが、彼が死んだためモルドーが後釜になったわけです。
次に、ペギー・カーター/キャプテン・カーター(ヘイリー・アトウェル)。スティーブ・ロジャースではなくペギーが超人血清を打ち、ヒーローになっていて、彼女はMCUシリーズ『ホワット・イフ…?』に登場しています。これまでのアニメの声優も含めシリーズを通してペギーを演じてきたアトウェルが同役を再演。なお、ペギー自身はアメリカ人でなく元イギリス軍なので、キャプテン・アメリカとはコスチュームのデザインが違います。
そしてマリア・ランボー/キャプテン・マーベル(ラシャーナ・リンチ)。『キャプテン・マーベル』で主人公の親友だったマリアがこのバースではキャプテン・マーベルになっています。
さて、ここからは知る人ぞ知るというキャラクターです。まずはブラックアガー・ボルタゴン/ブラックボルト(アンソン・マウント)。インヒューマンズのリーダーで声であらゆるものを破壊できます。TVドラマ版『インヒューマンズ』に登場し、マウントが同役を再演。彼の登場は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に、チャーリー・コックス演じるネットフリックス版『デアデビル』の主人公マット・マードックが登場したぐらいのサプライズではないでしょうか? なお彼は口をひらくとすさまじい破壊をひきおこすため、普段は喋りません。ではどうやって会議に参加するかというと、後述のプロフェッサーXが思考を読み取り代弁するわけです。
続いて、リード・リチャーズ/ミスター・ファンタスティック(ジョン・クラシンスキー)。個人的には「うわー!」と、心の中で叫んでしまいました! 彼はファンタスティック・フォーのリーダー。MCU版『ファンタスティック・フォー』のメンバーがついに登場しましたね。元々、近々製作開始のMCU版『ファンタスティック・フォー』では「クラシンスキーがリード役ではないか?」と噂されていたのですが、これで確定でしょうか?
最後に、チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX(パトリック・スチュワート)。ご存じ、X-MENのリーダー。20世紀フォックス(現・20世紀スタジオ)版のプロフェッサーXが登場です。演じるのも、お馴染みのスチュワート。これは『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でトビー版、アンドリュー版のスパイダーマンが登場したのと同じぐらいのインパクト! なお、プロフェッサーXが登場の時にかかる曲は90年代のアニメ版『X-MEN』(名作です!)のテーマ曲。さらに車椅子ではなく、浮上機能のついたメカであることに注目。これもコミック版、アニメ版のイメージを踏襲しているのです。
余談ではありますが、スチュワートとブラックボルト役のマウントはともにスタートレック出演俳優です。
さて、このメンツvsスカーレット・ウィッチのバトル(恐らくMCUの中でも最もグロいバトル)は本作の見どころの一つです。ちなみにスチュワート版プロフェッサーは『X-MEN:ファイナル ディシジョン』、『LOGAN/ローガン』でも“殺されて”おり、マーベル映画の中で最も殺されてしまう主要キャラの一人と言えます。
さて、プロフェッサーXがストレンジに言うセリフ「一度道を間違えたからといって、いつも道に迷うとは限らない(Just because someone stumble and loses their way doesn't mean they are lost forever)」ですが、これは『X-MEN:フューチャー&パスト』でジェームズ・マカヴォイ演じる若いプロフェッサーXに、時空を超えてパトリック版プロフェッサーXが彼を諭すセリフと同じ。同じセリフと言えばキャプテン・カーターが言う「まだやれる(I can do this all day)」はMCU版キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースのお馴染みのセリフですね。