吉高由里子、脚本・大石静の“パワーワード”に驚き 「鮮やかな大河ドラマになったら」

『光る君へ』発表会見レポート

『光る君へ』会見
吉高由里子

 吉高は2014年の『花子とアン』以来、10年ぶりに長期撮影の作品に携わることとなる。今年3月に放送された『風よあらしよ』(NHK総合)でも大正時代の女性解放運動家・伊藤野枝を演じており、次に演じるとしたら時代ものがいいと思っていたが、まさか平安時代まで遡るとは思っていなかったようだ。主演としての意気込みを聞かれた吉高は「大石先生の想像の翼と、平安時代の未知の世界を日々想像して、鮮やかな大河ドラマになったら」と話しながら、大河出演ということで「馬に乗りたい」という強い希望があるらしく、「馬のシーンをねじ込んでいただけたら」と懇願。

 これに内田が、平安時代は絵巻物からの寝転ぶようなゆったりとしたイメージがあるが「実は男性も女性もアクティブだった」と説明し、吉高の意見を前向きに検討しているようだった。また『知らなくていいこと』でタッグを組んだ大石は、吉高の俳優としての演技を「控えめな感じと奔放な感じ、頼りない感じと意志のある感じが一人のなかで同居していて、そこが珍しいなと。コロコロといろんな顔になるところが素敵」と評している。

『光る君へ』会見
(左から)吉高由里子、大石静

 今作の重要人物となる藤原道長を演じる俳優については、内田が「まだ決まっていない」と言及。彼の人物像は一般的に「権力欲が強くて、大胆豪快な人物」とされているが、「実は若い頃から権力のトップになることが約束されていたわけでなくて、兄たちの影に隠れて、おっとりとした弟タイプの青年だったと思っている。そんな人がどんな風に自分の権力を掴んでいったのかの一人の成長譚」になることを明かした。

 『光る君へ』は2023年夏にクランクイン、2024年1月より放送を予定している。

コメント

吉高由里子(主演)

2014年に連続テレビ小説『花子とアン』に出させていただいてから、それから今回の作品は2024年で10年目を迎える、10年ぶりに大きな長い作品に携わることができます。女性をテーマにして、スタッフさんも今回は女性のかたが多くて、男の人を中心に動いていた時代かもしれないですけど、女の人が表に立つような、光が差すような内容をやっていくうえで、たくさんの人に共感していただけるような主人公を表現できたらいいなと思っています。平安時代については、私も学生時代以来に触れるんですけど、これから改めて勉強することになると思いますが、それも楽しみです。1年半という長い収録期間に、どんな日々が待っているのかなとか、どんな風景が待っていて、どんな着物があるんだろうとか、想像できないくらい、願ってもみなかったお仕事です。次にまたNHKでお仕事するときは時代物がいいなと思っていたんですが、まさかこんなに時代をさかのぼるとは思ってもなく(笑)、これから楽しみながらハラハラとしていく日々が待ち遠しいばかりです。

大石静(脚本)

私は2006年に1回、大河ドラマ『功名が辻』をやらせていただき、「また大河ドラマをやりたいな」と思っていましたがさっぱりお声もかからず。だんだん年をとってきたから「もう無いな」と思っていたら、ひょっこりこのお話がありました。
ただ、平安時代のお話ということで「それって誰が見るのかしら」と最初は思い、とても不安な気持ちになりました。しかし、ちょっと勉強してみますと、紫式部は生没年も不明ですし、お墓もどこにあるか分からないし、日記を残していますけど本音は書いてないし、という感じで、これはオリジナルとして相当いろいろ構築できるなと思い、挑戦しがいがあるなと思って、人生最後の賭けだと思って一か八かでお引き受けしました。
この紫式部は藤原道長に若き日に出会うんですけれど、そこからの彼への愛と執着と憎しみと、結婚したりはしないんですけど、最後までツインソウルのように絡み合う2人の感情を描いていきたいと思っています。どうぞ皆さんよろしく盛り上げてください。

内田ゆき(制作統括)

2024年の大河ドラマを担当するにあたって、これまでにやっていない題材はなんだろう?と、まずは考えました。そして、そろそろ女性の主人公がきてもいいのでは?と。
そんな中で浮かんできたのが、平安時代。主人公は、『源氏物語』の作者の紫式部です。千年の時を超えて現代語訳や二次創作を生み出し続け、世界20カ国以上で翻訳されているこの物語の作者について、わかっていることは多くはありません。しかし彼女について探るうちに、鍵となるモノが二つ。ひとつは、意外にも活動的で男性貴族とも対等に付き合い、政治にさえも大きな役割を果たしていた平安の女性像。もうひとつは最高権力者となった藤原道長と紫式部の「近さ」でした。二人は年代的にも物理的にもいくつもの接点を持っていたのです。
平安時代の多くの女性の名前は判然としません。紫式部も然りです。そこで私たちは、心に燃えるものを秘めた個性的な主人公に「まひろ」という名をつけました。のちに歴史上もっとも有名な女性の一人となった彼女は、なぜ、この完全無欠な男性を彩る愛の物語を書いたのか。そこに、彼女の人生に欠かせない片割れ、ソウルメイトとして藤原道長が大きく関わっていたのではないか。そして彼女が見聞きした、愛憎と権力が渦巻く宮中での、天皇や貴族たちの生きざまは、どのように物語に取り入れられていったのか。これまでにない挑戦となるドラマには、想像の余地があふれています。
ドラマの作者として、この上ない方、女性の人生と恋愛を描く脚本で、トップを走り続ける大石静さんをお迎えすることができました。そして主人公の紫式部、まひろ役には吉高由里子さん。吉高さんならば、書かずにはいられない女・まひろの情熱と、強くしなやかな生きざまを表現してくださることと、嬉しく、心強く感じております。
2024年の大河ドラマ『光る君へ』、どうかご期待ください。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、2024年1月より放送予定
主演:吉高由里子
作:大石静
制作統括:内田ゆき
演出:中島由貴、佐々木善春ほか

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