『マイファミリー』香菜子役でも体現 高橋メアリージュン演じるキャリアウーマンの説得力

高橋メアリージュン演じるキャリアウーマン像

 現在放送中の『マイファミリー』(TBS系)で、二宮和也演じる主人公・鳴沢温人の会社「ハルカナ・オンライン・ゲームズ」でCOOを務める立脇香菜子を演じている高橋メアリージュン。高橋はここ最近こういった“バリキャリ”なキャラクターを演じることが多い。

 現在34歳の高橋メアリージュンは15歳でモデルの世界に飛び込み、2004年の4月から『CanCam』の専属モデルとしてキャリアをスタート。かわいい系モデルが多い中、「メアリー」の愛称で、カッコいい系やカジュアル系として異彩を放ち人気を博した。同誌を卒業してからも『CLASSY.』や『Oggi』、『GINA』などの雑誌で活躍する一方、2012年にNHK連続ドラマ小説『純と愛』で、日本人の父とフィリピン人の母を持つミックスという、高橋のルーツと重なる役が与えられ女優デビュー。女優を始めた頃は周りから「女優顔ではない」と言われるなど、女優は無理だと自分でも思っていたという高橋。しかしドラマの撮影を終え、義理の父親役の武田鉄矢から「ハーフである以前に人として魅力的だから自信を持って女優を続けろ」と言われたことで、女優に挑戦する新しい覚悟ができたと2018年5月11日放送の『A-Studio』(TBS系)で語っていた。

 そんな彼女が女優として強烈なインパクトを残したのが、2014年の映画『闇金ウシジマくん Part2』での、闇金融の女経営者・犀原茜役。狂気をまとった役柄で、静かに見つめる威圧感から、突然スイッチが入って発狂する演技はまさに“狂犬”。それに追い打ちをかけるように、食事シーンでの汚い食べ方に、貧しく愛情を注がれずに育ってきたという心の闇を感じさせ、なぜヤミ金業界でのし上がっているのかが伝わる迫真の演技を見せる。

 一方、同年の映画『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』では主人公の最大の敵である志々雄(藤原竜也)の愛人兼世話役の駒形由美を演じる。和装に身包み、志々雄が虜になるほどの花魁特有の献身的で妖艶という、『闇金ウシジマくん』の犀原とは正反対の役だ。加えて撮影中に難病が悪化しどんどん痩せていく中で、点滴を打ち、周りにサポートされながら、まさに命をかけた演技を見せた高橋。ただならぬ色気と美しさ、そして儚さを醸し出した理由は、彼女自身の壮絶な生き様を昇華した演技だったからだと言える。

 この2作品で、役者として早い段階から精神的に強い女性のイメージを定着させた高橋。またトップモデルとして活躍していた経験による、表現力の高さと仕事に対する真摯な姿勢、オシャレなファッションを着こなす佇まいの美しさから、『新しい王様』(TBS系)の報道局記者や『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)のファッション誌の敏腕編集長など、強気でサバサバしたキャリアウーマン役が多く与えられる。

 ただ、そこから見せる弱さなどの人間味を表現するのが高橋の最大の魅力である。2017年の『コウノドリ』第2シリーズ(TBS系) では、キャリアウーマンで産後うつに悩む母親として、出産後に早く仕事復帰したいと焦り、追い詰められていく様子を見事に表現した。2018年の『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)で演じた、一生子供を持つ気のないネイリストの役では、事実婚のパートナーに隠し子がいたことで、苦手だった子供を葛藤しながらも受け入れる。そして自然と子供を叱って愛情を注ぐ様子など、時間をかけて本物の親子になっていく姿を丁寧に演じた。

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