『インビジブル』はヒーロー映画にも通じる? 2次元をも行き来する高橋一生&柴咲コウ

『インビジブル』はヒーロー映画にも通じる?

 目的のためならグレーな手段も厭わない型破りな刑事。コードネームで呼ばれる国籍・年齢不詳の美しき犯罪者。そんな異色のコンビがタッグを組み、表社会では認識もされていない謎の凶悪犯たち“クリミナルズ”を追う……。

 まるでヒーロー映画にも通じる、非現実的な設定が続々と登場するドラマ『インビジブル』(TBS系)。爆弾が仕掛けられたビルから川の中に飛び込み、粉塵爆発を使って犯人の目をくらませピンチを脱するなど、アクションシーンも数多く設けられているところも、まさにクライムエンターテインメントといったところ。

 ともすれば、「実際にはありえない」となってしまいそうなところだが、この作品と視聴者を力強くつないでいるのが、高橋一生×柴咲コウの強力タッグだ。2人の抜群の演技力があるのは言わずもがな、共通するのは2次元と3次元を自由に行き来することができる、その存在感だ。

リアリティを超える高橋×柴咲タッグの説得力

 最近の作品で言えば、高橋は人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』からスピンオフした作品『岸辺露伴は動かない』(NHK系)で、漫画家・岸辺露伴を好演。「だが断る」「おいおいおいおいおいおいおいおいおい」など、ともすれば実写化すると浮いてしまいそうな独特なセリフや言い回し、立ち姿をも、すんなりと私たちの前に形にして見せてくれた。

 そして、柴咲もまた大ヒット漫画『xxxHOLiC』(講談社)の実写映画『ホリック xxxHOLiC』にて、願いを叶える店の妖しい女主人・壱原侑子を演じたことでも話題をさらったばかり。キャラクターのイメージが強いほど、それを生身の人間が演じてしまうとコスプレになりがちな実写化だが、柴咲が持つ“浮世離れした造形美”が違和感なく成立させてしまう。

 そんな高橋が暴走しがちで危うい刑事・志村貴文を、そして柴咲が“インビジブル”の異名を持つ犯罪コーディネーターのキリコを演じている本作。2次元の漫画を3次元にすることができる2人の演技と存在感は、むしろ実写でありながら漫画のような世界観も構築可能であるのだと言わんばかりの新しい感覚を覚える。

 高橋×柴咲のタッグで、多くの視聴者が心を奪われた大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK総合)での熱演も、今となっては2人の前世を知っているかのような気分になる。行ったことも観たこともない時代の物語にもかかわらず、鮮明にその世界を思い返すことができる。現実的であること=リアリティ以上に、その「世界があった」という説得力の強さが、このタッグにはある。

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