『インビジブル』柴咲コウが体現する善悪の表裏一体 早くも“見えざる悪”の最高峰と対峙?

『インビジブル』柴咲コウの不思議な存在感

 捜査のためには手段を選ばない刑事・志村貴文(高橋一生)と正体不明の犯罪コーディネーター・キリコ(柴咲コウ)の異色タッグがクセになる『インビジブル』(TBS系)第2話。

 今回登場した凶悪犯罪者“クリミナルズ”は“調教師”。自らの手は決して汚さず、行き場のない子どもたちに暗殺術を教え、法外な価格と引き換えに殺しの現場に送り込む。少しでも警察に疑われようものなら、証拠隠滅のため容赦なくその子どもたちを殺害するという残忍さ。第1話同様、今回もキリコが話していた“見えざる悪”が炙り出された。人権派の弁護士で少年事件のエキスパート・福留智寿子(久本雅美)がこの“調教師”本人だったのだ。問題を抱えた子どもたちの立ち直り支援という大義名分の下、少年院にいる頃から仲間に引き入れる候補を探し、彼女は私腹を肥やし続けていたのだ。なぜ彼女がこんなことに手を染めるようになったのか、何がきっかけだったのか詳細は明かされなかったが闇は深く、気になるところではある。

 時にストッパーがかからなくなる直情型の志村と、志村や警察への協力を申し出ながらもマイペースに彼らを手の平で転がし振り回し続けるキリコ。常にこちらを試すかのような質問ばかり投げかけ、いつだって意味深でこちらを不安にさせる存在だ。“警察のVIP”という殊勝なポジションを手に入れ、囚われの身ながらとっても優雅で自由自在。周囲が右往左往するのを余裕綽綽に楽しんでいるような素振りさえ見せるキリコ。中立な立ち位置で浮遊しているような、あまり温度感や重量、質感を感じさせない不思議な存在感が常に光っている。そんな掴みどころのなさをさらに強固なものにするのが、彼女のあまりに似合いすぎている金髪姿だろう。片腕・マー君(板垣李光人)との連携ぶりもお見事だ。妖しく美しいキリコだが、彼女が極悪人だとは思えない。

 キリコ役を演じる柴咲コウは、『35歳の少女』(日本テレビ系)で、昏睡状態から目を覚まし、身体は35歳ながら心や記憶は事故に遭った10歳で止まっているという難役を熱演していた。本作での犯罪コーディネーター役しかり、かなりのレアケースやなかなか現実離れしたようなキャラクターを色鮮やかに見せてくれる。言わずもがな俳優としてのキャリアが長く、代表作もたくさんあるにもかかわらず、イメージが固定してしまわず、常にフレッシュな顔を更新し続けているのが見事だ。そして、本作においては曖昧さや固定されなさを纏うキリコ自身が、善悪の表裏一体ぶりを体現して見せてくれているように思える。

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