『インビジブル』高橋一生の秘めたる苦悩 刑事×犯罪コーディネーターの異色バディが誕生
気怠さの中に時折狂気が覗く、“正義側”の異端刑事で一匹狼の志村貴文を演じる高橋一生。素性も謎に包まれており、時に不適な笑みを浮かべながら挑発的な態度を見せ“悪側”で暗躍する犯罪コーディネーターのキリコ、もといインビジブル役の柴咲コウ。犯罪の全容を知り、手引きする犯罪コーディネーターは都市伝説的な存在だとされていたが、ここに実在した。こう聞くだけで、既に最高に妖艶でゾクゾクする設定なのに、さらにこの相容れない2人が手を取り合う異色のバディが誕生した『インビジブル』(TBS系)第1話。
志村に危険な橋を渡らせようと誘おうとするキリコと、危険だとわかっていながらもその橋を渡らずにはいられない志村の危なっかしい駆け引きがまた見応え満載で魅力的だ。
「この世にはね、“見える悪”と“見えざる悪”っていうのがあって、私がいる裏の世界からあなたがいる表の世界を覗くと、普段見えない悪がうっすら透けて見えることがあるんだよ。例えば白だと思ってたものが実は黒で、黒だと思ってたものが本当は白だった、みたいな」とキリコが志村に示唆したこの言葉通り、第1話の爆破事件の真相は警察の見立てとは正反対の構図だった。
本当の悪は、「世界恵みの会」という年間70億円もの募金を集める巨大なボランティア団体の代表を務める小野塚の方だったのだ。募金詐欺の事実を掴んだ週刊誌の元記者をその裏帳簿データごと抹消しようと、凶悪犯罪者“クリミナルズ”の一人で爆弾魔の“花火師”に処理させようとしたのだった。
爆破時間が迫る中、通りかかったバイクに乗り換えたり、爆破現場のビルから窓を突き破って川に飛び込むなど、志村の迷いがなくかなり大胆な行動からも目が離せない。
そんな志村を突き動かし無茶をさせるのは、3年前の通り魔事件で後輩の安野(平埜生成)を目の前で犯人に殺されてしまったトラウマにあるようだ。その志村の最大の弱点である強烈な原体験をも熟知しているキリコは一体何者なのか。