『吉祥寺ルーザーズ』小さな絆ができた日曜の食卓 田中みな実の「ケトる」を笑いに
東京・吉祥寺の謎めいたシェアハウスに“ルーザー”として認められ、入居することになった6人の日々を描いた秋元康が企画・原作、増田貴久(NEWS)が主演を務めるドラマプレミア23『吉祥寺ルーザーズ』(テレビ東京系)。4月18日放送の第2話は、あまりにクセの強すぎる住人たちにドタバタとしたドラマになるかと思いきや、それぞれの、その人なりの優しさが心に染みるあたたかな回になった。
吉祥寺のシェアハウスに引っ越してきて6日。風呂場もキッチンも洗濯機もひとつしかないシェアハウスで、6人はそれぞれが勝手に生活しているため、朝はどこもかしこも通勤ラッシュ状態。キッチンの洗い物やゴミ捨てもそれぞれに任せているので雑然としている。共同生活をするにはルールが必要だという意見で一致した聡(増田貴久)と桜(田中みな実)は、聡の司会進行でシェアハウスのルール決めの集まりをすることに。しかし、クセ強ルーザーたちのルール決めが一筋縄でいくわけがなく、いつしか今不満・不快に思っていることを言い合う展開になってしまう。
「ため息が多い」「いびきが気になる」などと言われた池上(國村隼)はみるみる血相を変え「私は傷つきました!!!!」と突然立ち上がる。その様子は、聡が「あの温和な池上さんがまるでアウトレイジだ」と呟くほど。ちなみに池上を演じる國村は、ご存知の通りその『アウトレイジ』に組長役で出演しており、ここに作者たちのちょっとした遊び心が感じられる。
「本音はぶつけ合うべき」と主張した桜にも手痛い言葉が。特に「(人に)『モテないよ』といいつつ、自分がモテなさそう」という聡の発言に大爆発した桜は、自分が女性誌の編集長だったときの苦労をぶちまける。身振り手振りを交え、時折苦々しい表情を見せながら、早口で思いの丈を語っていく桜に、現在はドラマやバラエティで幅広く活躍する田中の元アナウンサーとしての片鱗を見た気がした。
一旦冷静になった桜は部屋を出ていき、それを池上が追いかけていった。やかんのなかでお湯が沸騰してピーピー音が立っているような桜の様子に他の面々は「ケトルみたいだったね」「ケトってたね」と笑った。思わず吐露された桜の心情から当時の大変さ、今のもどかしさを汲み取り、ちょっとした笑いに変えたのだ。桜に直接声を掛ける池上の優しさもあるが、むやみやたらに他人に踏み込まない“ルーザー”らしい優しさが見えている。