『ちむどんどん』はお腹が空く食事シーンが満載! 大森南朋「てぃんさぐぬ花」が沁みる

『ちむどんどん』波乱を予感させる第5話

 『ちむどんどん』(NHK総合)第5話における15分間は特別な構成だ。この第1週「シークワーサーの少女」を締めくくる三浦大知による主題歌「燦燦」、ジョン・カビラによる「これは沖縄本島北部『やんばる』と呼ばれる地域のある家族の物語です」という物語冒頭と同じ語りが再び流れること。それらは父・賢三(大森南朋)が倒れるという胸騒ぎのするラストを美しい沖縄の自然の画とともに中和させながら、この第1週がこれから半年間にわたって描かれていく壮大な物語のほんの一部であるということを俯瞰視させる。

 暢子(稲垣来泉)は、まっすぐに夢を口にする朝ドラヒロインだ。それは第1話から「東京のおいしいもの食べたーい!」とはっきりと明言していることからも分かるだろう。第5話では青柳史彦(戸次重幸)がご馳走(アババ)のお礼にと暢子たちを那覇のレストランに招待する。

 これまでラフテーやソーキそばといった沖縄料理が中心だった比嘉家にとって、レストランで出てくる西洋料理は全てが「アキサミヨー!」であり、「マーサンヤー!」である。ウェイトレスが運んでくる「あさりのクリームスープ」に「海の幸のサラダ」、メインディッシュの「デミグラスソースのハンバーグステーキ」、締めの「プリン」。暢子は一生の思い出にと、おいしいものノートにメモを書き留めていく。ウェイトレスにもう一度ゆっくりと料理名を復唱させる、本気っぷりだ。

 暢子が料理の味と同等にカルチャーショックを受けたのは、西洋料理のマナーや服装だ。ナイフやフォークなどのカトラリーは外側から順に使うこと、テーブルへと挨拶にやってくる真っ白なコックコートを着たシェフ。暢子は全てに興味津々。世界中のおいしいものを全部食べたい暢子は、それら(の一部)が東京にあることを知り、「いつか東京に行ってみたい」とさらに思いを強くさせる。このレストランでの経験が暢子の今後の人生に繋がっていくーーそう予感させるシーンでもある。

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