『ファンタスティック・ビースト』新作の好調が示す、キャンセル・カルチャーと市場の乖離

『ファンタビ』新作の好調が示すこと

 さらに、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』のクランクイン直後には、ゲラート・グリンデルバルド役のジョニー・デップが途中降板。直接的な理由となったのは、2020年11月6日にデップが元妻アンバー・ハードに対する家庭内暴力関連の名誉毀損訴訟での敗訴を受けて、ワーナー・ブラザースから降板を求められたからだ。デップは1シーンのみの撮影で出演料を全額受け取り、グリンデルバルド役の代役はマッツ・ミケルセンが引き受けた。

 『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』の災難はまだまだ続く。同作のワールドプレミアが行われた2日前の3月28日にはクリーデンス・ベアボーン役のエズラ・ミラーが、ハワイ島のカラオケバーで他の客に治安びん乱行為とハラスメント違反疑いで逮捕される(保釈金を払って現在は釈放)というスキャンダルに見舞われた。

 このようなキャンセル騒動や配役の交代やスキャンダルがシリーズの今後にどのように影響を及ぼすのかはまだわからないが、少なくとも興行面においては、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』が既に公開されている日本やイギリスやドイツといった主要マーケットでは前作同様の順調な推移を見せている。同作の北米公開は4月15日。もし北米の興行でも悪影響がほとんどないようだったら、ここ数年ハリウッドを中心に吹き荒れてきたキャンセル・カルチャーが、実はマーケットとは乖離したものであることを示す前例となるかもしれない。

■公開情報
『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』
全国公開中
監督:デヴィッド・イェーツ
脚本:J・K・ローリング、スティーヴ・クローヴス
プロデューサー:デヴィッド・ヘイマン
出演:エディ・レッドメイン、ジュード・ロウ、エズラ・ミラー、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、カラム・ターナー、ジェシカ・ウィリアムズ、キャサリン・ウォーターストン、マッツ・ミケルセンほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
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