4月期は『恋マジ』『探偵が早すぎる』の2作で主演 広瀬アリスの演技はなぜ愛されるのか

 屈託のない笑顔に、サバサバとした性格。広瀬アリスの魅力は、飾らないところにある。女優としてさまざまな役柄に挑戦する上でも、“自然体”なところが彼女の武器になっているのではないだろうか。正統派なルックスを持ちながら、コメディに振り切った役柄までこなすことができる。なかでも、2018年放送のドラマ『探偵が早すぎる』(読売テレビ・日本テレビ系)で見せた顔芸には、「そんな表情、していいの!?」と驚かされたものだ。今年配信された主演ドラマ『失恋めし』(Amazonプライム・ビデオ)も、彼女の豪快な食べっぷりが見どころのひとつになっていた。どのような役柄に対しても、“愛”を込めて演じている広瀬。それが伝わってくるからこそ、彼女の演技は愛されるのだろう。

広瀬アリス
『探偵が早すぎる~春のトリック返し祭り~』で十川一華役を務める広瀬アリス

 広瀬はとにかく、演じてきた役の幅が広い。前述の『探偵が早すぎる』や、NHK連続テレビ小説『わろてんか』のようなコメディな役柄から、映画『銀の匙 Silver Spoon』(2014年)で演じた王道ヒロインまで。枠にとらわれることなく、さまざまなキャラクターに挑戦している。最近は、コメディ作品で見かけることが多いため、2021年放送のドラマ『知ってるワイフ』(フジテレビ系)で見せた圧倒的ヒロイン力に衝撃を受けた人もいるのではないだろうか。

 『知ってるワイフ』は、恐妻・澪(広瀬アリス)に怯える元春(大倉忠義)が、タイムスリップで妻を入れ替えるところから物語が始まる。そのため広瀬は、2つのキャラクターを演じ分けることになった。ひとつ目は、“タイムスリップする前”の恐妻姿。ワンオペ育児に、母の介護。髪を振り乱して奮闘する姿は、観ているだけで苦しくなるほど。初の母親役とは思えないリアルな演技を見せていた。

 しかし、“タイムスリップ後”(つまり、元春と結婚しなかった世界線)の澪は、独身のキャリアウーマン。恐妻とは180度異なる表情を見せなければならない。そこで広瀬は、圧倒的ヒロイン力を見せつけたのだ。ハキハキとした喋り方に、キュッと口角が上がった笑顔。周囲を凌駕するほどのモテ女子っぷりを発揮していた。あまりにも完璧だと、同性から嫌煙されそうなものだが、少し抜け感を入れ込んでいるため、嫌味にならない。その絶妙なさじ加減が、広瀬の力量だろう。“元春と結婚する前”の女子高生時代の澪も演じていたのだが、その瑞々しい演技も印象に残っている。同作で広瀬は、ラブストーリーでも映える女優であることを証明した。

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