菅田将暉と小松菜奈が“人生”という旅路を体現 映画『糸』中島みゆきの歌詞が示唆する未来

『糸』中島みゆきの歌詞が示唆する再会の日

 中島みゆき本人は、自らが綴った歌詞について「素朴」という言葉を用いて説明しているが、一つ一つの歌詞を見ていくと、具体性を持つ言葉を丁寧に避けながら、とても普遍的な心情を描き出していることに気付く。真っ先に思い浮かぶのは、恋人同士が相手に寄せる心情であるが、とても解釈の余白が広い楽曲であるため、人によっては、家族同士や友人同士の関係性に置き換えて聴くこともできるだろう。それはつまり、聴く人の数だけ、その人にとっての「糸」の形があるということなのだと思う。

 このように同曲は、一人ひとりのリスナーが自分の人生に重ね合わせながら聴くことができる深い奥行きを秘めており、だからこそ、普遍的な魅力を放つJ-POPのスタンダードナンバーとして、いくつもの年代を超えて愛され続けているのだろう。絢香やAimer、Uruをはじめ、これまで数え切れないほど多くのアーティストによってカバーされてきたことも納得がいく。

 そして2020年、映画として新しく編まれた『糸』が、菅田将暉と小松菜奈がダブル主演を務めた今作である。2021年11月15日に結婚を発表した菅田将暉と小松菜奈の共演は、『ディストラクション・ベイビーズ』(2016年)、『溺れるナイフ』(2016年)に続いて今作が3回目。過去2作は、青春期の煌めきや揺らぎ、脆さや危うさがテーマとなっていたが、今作で描かれるのは、青春期を終えてもなお続いていく「人生」という長い旅路である。2016年の2度の共演を経て、それぞれに俳優として経験値を積み重ねてきた2人が、いったいどのように漣と葵の生き方を体現しているか。ぜひ、映画を観て確かめてみてほしい。

参考

※1. https://ito-movie.jp/

■放送情報
『糸』
TBS系にて、3月29日(火)20:57〜放送
出演:菅田将暉、小松菜奈、山本美月、高杉真宙、馬場ふみか、倍賞美津子、永島敏行、竹原ピストル、二階堂ふみ(友情出演)、松重豊、田中美佐子、山口紗弥加、成田凌、斎藤工、榮倉奈々
原案・企画プロデュース:平野隆
脚本:林民夫
監督:瀬々敬久
音楽:亀田誠治
配給:東宝
(c)2020映画『糸』製作委員会
公式サイト:https://ito-movie.jp/

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