西島秀俊が世界で評価される演技力を発揮 劇場版『奥様は、取り扱い注意』で見せた笑顔
3月18日の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で、大ヒットドラマの劇場版『奥様は、取り扱い注意』が放送される。元特殊工作員と公安警察の夫婦が織り成すアクションエンターテインメントで、妻を綾瀬はるか、その夫を西島秀俊が演じている。
西島といえば、主演を務めた濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』の快挙が記憶に新しい。本作は、カンヌ国際映画賞では脚本賞、ゴールデングローブ賞では外国語映画賞を受賞。日本時間の3月28日に授賞式が開催される米アカデミー賞では、日本映画初の作品賞ノミネートが話題を呼んだ。そして主演の西島もまた、全米映画批評家協会賞で主演男優賞、第45回日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞している。
話題作『ドライブ・マイ・カー』と、アクションシーン満載の『奥様は、取り扱い注意』での西島の演技は対照的だ。『ドライブ・マイ・カー』で西島が演じる主人公・家福悠介は感情が表に出ることが少なく、基本無表情だ。彼の心情は、西島の表情のわずかな変化によってのみ伝えられる。一方、『奥様は、取り扱い注意』で西島が演じる伊佐山勇輝は、綾瀬演じる妻・菜美に穏やかな微笑みを見せたり、正体を明かした後は、キッと厳しい表情で菜美と対峙したりと感情豊かな人物に感じられる。劇場版の中でも、戦いに身を投じながら言い争いをするシーンがあるのだが、本音をぶつけ合うことに心地よさを感じているようなイキイキとした台詞回しは、心の内を語らない家福とは大違いである。
だが、西島がここまで対照的な演技を見せても、家福と勇輝の心情は観客の胸にしっかり届く。なぜなら西島が、家福と勇輝の人物像を誰よりも理解したうえで演じているからだ。