『カムカム』濱田岳演じる算太が本物の“サンタクロース”に 安子とるいを繋げるプレゼント

『カムカム』算太が本物のサンタクロースに?

 幼い頃の算太から見た金太は、信念もなく言われるがまま杵太郎(大和田伸也)の跡を継いだ、尊敬に値しない父親だったのかもしれない。でも、金太も自分と同じように「こんな時だからこそ」とお菓子で人々を絶望の淵から救おうとしていたことを算太は知る。だからこそ、そんな父の思いを受け継ぎ、たちばな再建を果たそうとしたのだろう。ダンサーの夢は敗れたが、今度は金太のようにお菓子でみんなを笑顔にするため。そして、ゆくゆくは雪衣(岡田結実)と家族を作り、自分が一番幸せだった頃を再現するはずだった。でも、再びその夢は叶う直前で崩れ去る。安子の義父・千吉(段田安則)から譲ってもらった背広に身を包んだ自分が道化師に見えたのか。そのあまりに滑稽な姿に算太は笑い、開店資金を持ったまま、彼は忽然と姿を消した。

 算太はトラブルメーカーだが、誰かを傷つけたり不幸にしたりするつもりは一切ない。自分が岡山を去った後の顛末を彼が知っているのかは不明だが、きっと安子やるいに多大なる迷惑をかけたことは理解しているはず。だから、大人になったるいに合わせる顔がなかったのだろう。サンタ黒須を名乗っていたのも、幼い頃に安子から算太を紹介されて「サンタのおじさん?」と勘違いしたるいに対する贖罪の気持ちがあったのかもしれない。偶然にも出会ったひなた(川栄李奈)に安子の姿を重ね、物悲しげに微笑む算太の表情も印象的だ。

 稔(松村北斗)や安子と同じように、戦争の時代を生きた算太は誰よりも子どもたちに「ひなたの道を歩んでほしい」と願っていた。だから余計に、自分の行動が安子やるいから希望を奪ってしまったことが彼には許せないはずだ。そんな算太がクリスマスイブのまだ夜も更けないうちに大月家へやってきた。ちょっとあわてん坊なところが彼らしい。その手に安子とるいを繋げるプレゼントが握られていることを願う。今度は本物のサンタクロースになれるように。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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