Netflixがロシアでの事業を一時停止 ウクライナ侵攻における映画配信業界への影響

Netflixがロシアでの事業を一時停止

 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、Netflixはロシア内での今後の事業及び新規顧客の獲得などのすべてを一時停止することを決めた。

 Netflixは、Dasha Zhuk監督による犯罪スリラーシリーズを含む4本のロシアオリジナル作品を準備していたが、撮影途中のまま保留となった。1990年代を舞台にしたこのシリーズは、昨年終了した『Anna K』に続き、Netflixがロシアで撮影する2本目のオリジナルシリーズだった。Netflixに近い関係者は、同社が時事問題の影響を見極めていると述べている。

 2月28日(現地時間)には、ウォルト・ディズニー・カンパニーが、3月10日にロシアで公開予定だったピクサー制作のアニメ映画『私ときどきレッサーパンダ』を含む、ロシアでのすべての劇場公開を一時停止すると発表。この発表の数時間後には、ワーナー・ブラザースがロシアでの『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の公開を中止した。加えてソニー・ピクチャーズも、ウクライナで進行中の軍事行動とそれに伴う人道危機を考慮し、4月初旬に予定されているスパイダーマンのスピンオフ作品『モービウス』を含め、ロシアで予定している劇場公開を一時停止すると述べた。ソニー・ピクチャーズは「私たちの思いと祈りは、被害に遭われた全ての人々と共にあります。この危機がすみやかに解決されることを願っています」と伝えている。

 ロシアはハリウッドにとって主要な市場ではないものの、興行収入では通常、世界の上位12カ国にランクインしている。ソニー・ピクチャーズによる大ヒット作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、全世界で18億5000万ドル(約2140億円)のチケット売上を記録している中で、ロシアでの興行収入は4670万ドル(約54億円)。ソニー・ピクチャーズの直近のヒット作であるトム・ホランドのアドベンチャー映画『アンチャーテッド』は、ロシアで過去2週間に約2000万ドル(約23億円)を稼ぎ出しているのだ。

 映画祭関連では、ロシアは主要な映画祭や賞の授賞式から締め出されることになった。カンヌ映画祭は3月1日(現地時間)、ロシアの代表団や政府と関係のある出席者を歓迎しないと発表し、Series Mania FestivalとMIPTVはフランス政府の対ロシア制裁に従って、それぞれのイベントでロシア側の出席を認めないと述べた。

 同じく2月28日(現地時間)には、ヴェネチアの芸術展示会「ヴェネチア・ビエンナーレ」でロシア館が不参加であることを発表。ヴェネチア映画祭は、同イベントにおけるロシア映画のボイコットを求める声への対応を模索中だ。スコットランドのグラスゴー映画祭も同様の姿勢で、今年はキリル・ソコロフ監督の『No Looking Back(原題)』とラド・クヴァタニヤ監督の『The Execution(原題)』の2本のロシア映画の上映を取りやめることを決定した。一方、スイスのロカルノ映画祭は、8月に開催される同映画祭でロシア映画を上映することを発表している。

参考

https://variety.com/2022/film/global/netflix-pauses-russia-projects-acquisitions-1235194200/
https://time.com/6153035/the-batman-russia-warner-bros-pause/

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