『ドクター・ストレンジMoM』予告編を解説 プロフェッサーX、モニカ・ランボーも登場?

『ドクター・ストレンジ』続編の新予告解説

 さて、55秒目に姿を現す牛頭のキャラクターは、コミックに登場するリントラフという牛頭人ミノタウロスのような存在です。コミックだと、別次元の別惑星ラ・ヴァールにいる知的生命体。魔法も使えます。そしてストレンジのかつての兄弟子であり、親友のモルド(キウェテル・イジョフォー)も登場。なんと、今回はヴィランとして彼と対峙します。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(c)Marvel Studios 2022

 そしてストレンジはマルチバースに混乱を起こした罪で、何らかの組織に拘束されます。僕は最初、ストレンジを拘束したのは『ロキ』に登場した、神聖時間軸を管理する組織TVAと思ったのですが、どうやら違うようです。というのもこの後、ストレンジが連行される組織内にTVAの表記はないです。そして、彼を連行するロボットたち! これは最初、ウルトロンかと思ったのですが、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でトニー・スタークが考えていた、ロボット軍団によって世界を守る構想のアイアン・レギオンである可能性があります。つまり、マルチバースのどこかの世界ではトニーの計画がうまくいったということで、トニー(アイアンマン)は生きている?(もちろん、ロバート・ダウニー・Jr.ではないトニーかもしれませんが)

 そして予告編でかなりの衝撃を与えたのが、1分18秒目。謎の人物が「真実を教えよう」とストレンジに声をかけます。この声の主はパトリック・スチュワート! そう20世紀フォックス版『X-MEN』シリーズのプロフェッサーXなのです! ついにMCUにX-MENが登場です。ここで20世紀フォックス版『X-MEN』の世界とMCUはマルチバース的に共存していたということでしょう。ついにそれが繋がった!

 そしてプロフェッサーXが登場するということは、このストレンジをとらえた組織、この法廷みたいな組織が原作コミックに登場するイルミナティのMCUバージョンなのかもしれません。コミックのイルミナティはトニー・スタークが結成した秘密協議組織で、トニー、プロフェッサーX、ドクター・ストレンジらヒーローたちの中でもトップクラスに属する頭脳陣が、あらかじめ世界・宇宙の危機に対しどう対処するか交渉しておくみたいな集まりです。コミック版イルミナティにはリード・リチャーズ(ファンタスティック・フォー)、ブラックボルト(インヒューマンズ)、ネイモアも参加しており、彼らはこの先のMCUに登場すると言われているので、ここでイルミナティを出しておくことは次のMCUでの展開に繋がるかも。また、トニーとゆかりのある組織なので、前述のアイアン・レギオンがここを守っている理由にも繋がっていきます。

 予告のその後のホラー演出はライミ監督らしさ満載。ストレンジの顔面がルービック・キューブ的に崩れていったり、今回のメインヴィランの一人と思われる邪悪なストレンジが登場したり。彼はドクター・ストレンジのヴァリアントで、『ホワット・イフ…?』の展開に重なるものがあります。

『ワンダヴィジョン』(c)2021 Marvel

  そして1分36秒目ワンダと戦う光る超人。これはモニカ・ランボー(テヨナ・パリス)でしょうか? モニカだとしたら、なぜ“スカーレット・ウィッチ”でなくワンダと戦っているのでしょう。マーベルドラマ『ワンダヴィジョン』で2人は友達になっていたはずです。しかし、だんだんと様子のおかしいワンダ、もといスカーレット・ウィッチの雰囲気が変になっていきます。やはり最終的に彼女が脅威=ヴィランになりストレンジと戦うのでしょうか? なお、1分45秒目のワンダのセリフからは、「ドクター・ストレンジが世界を救い死んだと思われている世界」であり、だから殉死したストレンジを称えるスタチューが設置されていると推測できます。

 さて、予告編には数々の怪物が登場しますが、注目すべきは1分42秒目に登場するガルガントスという怪物です。コミックでは海のヒーロー、ネイモアことサブマリナーと戦います。コミックでは前述のディフェンダー・ストレンジに由来するディフェンダーズのメンバーの一人がネイモアであり、彼はイルミナティのメンバーの一人でもある。つまり、やたらとネイモアにつながる要素が多いのです。ネイモアはMCU映画の『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエヴァー(原題)』に出るとも言われており、その布石かもしれません。

 そして2分4秒目でストレンジが戦う怪物たち。これは日本発のマーベル・アニメ『ディスク・ウォーズ:アベンジヤーズ』にも出た異次元の怪物マインドレス・ワンズの可能性が高いです

 さらに公開されたポスターの右下に『ホワット・イフ…?』にも登場したキャプテン・カーターの盾らしきものが鏡の破片の中に写っています。カーターは別の世界で、スティーブ・ロジャースではなくペギー・カーターが超人血清を打ち誕生したスーパーソルジャー! その実写版が登場するのかもしれません。

 従来のMCU作品は予告以上の衝撃を本編にぶつけてくるので『ドクター・ストレンジMoM』は、本当にすごいことになりそうですね。全米公開は5月6日ですが日本は5月4日と、少し早いのですよ!

■公開情報
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
5月4日(祝・水)公開 
監督:サム・ライミ
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、ベネディクト・ウォン/レイチェル・マクアダムス、キウェテル・イジョフォー、ソーチー・ゴメス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)Marvel Studios 2022

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