『ロード・オブ・ザ・リング』などトールキン作品の権利が売却 オークションの行方は?

『ロード・オブ・ザ・リング』の権利が売却

 『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』などJ・R・R・トールキン作品の権利を有するザ・ソウル・ゼインツ・カンパニー(以下、ゼインツ社)が、それらの権利を売却することを決め、オークションにかけられることが明らかになった。

 ゼインツ社は、映画、ビデオゲーム、商品化、ライブイベント、テーマパークで『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』を利用する権利を保有しており、トールキンの死後に出版された著作をまとめた2冊の本(『シルマリルの物語』と『ヌーメノールと中つ国の終わらない物語』)に基づいて、トールキン財団が映画やその他のコンテンツを制作する場合のマッチング権もそこに含まれていた。

 ゼインツ社は、ACF投資銀行に売却手続きを依頼し、今週、銀行員がハリウッドの有力なバイヤーたちのもとを回っているとのこと。トールキンの資産は少なくとも20億ドルの価値がつくことが見込まれている。

 現在、Amazonが『ロード・オブ・ザ・リング』をテレビシリーズとして巨額の予算でリメイクする予定があることから、ゼインツ社が売却する権利獲得の筆頭候補がAmazonになるのではとの見方がある。Amazonは2017年に『ロード・オブ・ザ・リング』のテレビ化権を購入。第1シーズンは2022年9月2日にAmazon Prime Videoで配信開始予定であり、タイトルは『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』と決定している。

 『ロード・オブ・ザ・リング』に関しては、2021年にワーナー・ブラザースが、ニューライン・シネマとワーナー・ブラザース・アニメーションと組み、オリジナルアニメーション作品『The Lord of the Rings: The War of the Rohirrim(原題)』を制作することを発表。しかし、ゼインツ社の見解では、ワーナー・ブラザースは『ロード・オブ・ザ・リング』や、関連コンテンツの新規開発にあまり積極的でなかったこともあり、昨年、実質的な実写映画の権利はゼインツ社へと戻った。ワーナー・ブラザースはコメントを控えているが、長年にわたって大規模な訴訟の対象となってきた『ロード・オブ・ザ・リング』と『ホビット』の権利に関しては、ゼインツ社とワーナーのどちらが何で主導権を握るかで、すでに対立しているとみられている。

 ニューライン・シネマは、ピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リング』(2001年)、『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002年)、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』の3部作で世界的な大ヒットとアカデミー賞受賞の実績を残したが、2005年には同監督から会計監査を求めて訴訟され、ゼインツ社からも2度訴訟を起こされている。

 カリフォルニア州バークレーを拠点とするゼインツ社は、トールキン関連のライセンスを扱うミドルアースエンタープライズを擁しており、代表のソウル・ゼインツは1950〜70年代に影響力のあったジャズとロックのレーベル「ファンタジー・レコード」の社長として知られている。また、ゼインツは映画プロデューサーとして『カッコーの巣の上で』(1975年)、『アマデウス』(1984年)、『イングリッシュ・ペイシェント』(1996年)なども製作し、これらの3作品はすべてアカデミー賞作品賞を受賞した。ゼインツは、1976年にトールキンの各タイトルの映画化権などを取得していたが、当時の契約に含まれていなかったメディア形態のひとつが、8話よりも長いのテレビシリーズを制作する権利だった。よって、Amazonは『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』の契約をトールキン財団と直接進めることができたという。

参考

https://variety.com/2022/film/news/lord-of-the-rings-hobbit-tolkien-zaentz-rights-sale-1235176036/

■配信情報
『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』
Amazon Prime Videoにて、9月2日(金)より独占配信予定
出演:シンシア・アダイ=ロビンソン、ロバート・アラマヨ、オウェイン・アーサー、マックス・ボルドリー、ナザニン・ボニアディ、モーフィッド・クラーク、イスマエル・クルス・ コルドバ、チャールズ・エドワーズ、トリスタン・グラヴェル、レニー・ヘンリー、エマ・ホーヴァス、マルケラ・カヴェナー、ジョゼフ・マウル、タイロエ・ムファフィディン、ソフィア・ノンベート、ロイド・オーウェン、メーガン・リチャーズ、ディラン・スミス、チャーリー・ヴィッカース、レオン・ワダム、ベンジャミン・ウォーカー、ダニエル・ウェイマン、サラ・ツワンゴバーニ
クリエイター兼エグゼクティブプロデューサー: J・D・ペイン、パトリック・マッケイ
エグゼクティブプロデューサー:リンジー・ウェバー、カラム・グリーン、J・A・バヨナ、ベレン・アティエンサ、ジャスティン・ドブル、ジェイソン・ケイヒル、ジェニファー・ハッチソン、ブルース・リッチモンド、シャロン・タル・イグアド
プロデューサー:クリストファー・ニューマン
(c)Amazon Studios
公式サイト:https://www.amazon.co.jp/dp/B09QH8NMS1/

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