『カムカム』第14週はまるで“第1週”? ひなたからるいへ送られた言葉の意図
舞台が大阪から京都へと移り変わり、雰囲気が一変した『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)。その中心にいるのは、るい(深津絵里)と錠一郎(オダギリジョー)の娘・ひなた(新津ちせ)だ。10歳になったひなたは、“天真爛漫”を具現化したような存在で、観ているだけで笑顔になってしまうような輝きを放っている。
ひなた役の新津はオーディションから選ばれたという。週6回から5回へと放送が変更になったものの、朝ドラが通常のドラマに比べて撮影スケジュールがハードなものであることは多くの人が知るところ。限られた条件の中、藤本有紀脚本を成立させるためには、子役と言えども臨機応変な芝居が求められる。新津は朝ドラ初出演となった『エール』でも高い演技力を発揮していただけに、その“瞬発力”に白羽の矢が立ったというわけだ。
実際、深津絵里、オダギリジョー相手に、自らの芝居を発していくだけではなく、2人の芝居を受けて、また自分の芝居を返す、見事なセッションを見せてくれている。まだ登場して5話しか経っていないが、間違いないく新津以外に幼少期のひなた役は考えられなかったといい存在感を見せてくれている。
第14週では、前週から10年の時が経ち、るいと錠一郎も親として変化した様子が垣間見えた。その中でも視聴者が気になるのは、錠一郎が再びトランペットを吹くことができるのか、という点。手書きの五線譜に作曲を行うようなワンシーンもあったが、これは父・錠一郎としての姿だけではなく、演奏家“ジョー”も、彼の中でまだ消えていないということの表れだろう。ひなたの成長とともに、“ジョー”の復活も今後期待したいところだ。