『その年、私たちは』が教えてくれる、自分の人生の歩み方 季節とともに巡った愛の帰結
ウンは、今まで一度も口にしなかった「愛してる」の言葉をヨンスだけに届けた。ヨンスがウンに別れを告げた場所が、ウンが愛を伝えた場所になり季節が巡る。2年後に留学から戻ってきたウンは、ある告白をする。『初夏が好き』という本の表紙裏に描かれたヨンスの絵。彼が人物の絵を描いたことに驚きもあったが、そこには大人のヨンスではなく、あの日、体育館で初めて見た高校生の彼女が描かれていて頬が緩む。情けなかった少年は、ソシオパスの少女に出会った時から恋をしていたのだ。ウンにとって、ヨンスと出会った瞬間の記憶が、こんなにも尊いものだったと伝えるかのように。
平凡な人生を送ることが難しかったジウンとNJ(ノ・ジョンウィ)。大切な人の前で泣いたり笑ったり、友達を作ったり。いつだってやり直せるし、始められる。これは、カットや撮り直しが何度もできるドキュメンタリーなのだ。高校生のジウンは“平凡な人生がありがたく思う瞬間がくるのか”を疑っていた。しかし、それから10年以上経ったジウンは、ウンとヨンスに「撮影するぞ」と声をかけ、今日も誰かの小さな記録を残している。
“その年、私は”闇の中にいるみたいに孤独だったし、しんどくてたまらなく辛かった。けれど、泣いてばかりでも笑う時もあったし、寂しくてもあたたかさを感じる瞬間が確かにあった。なぜなら“その年”には、一緒に過ごした“私たち”がいたのだから。
■配信情報
『その年、私たちは』
Netflixにて独占配信中
(写真はSBS公式サイトより)