『カムカムエヴリバディ』離れたるいと錠一郎が心配 不穏すぎる“クリスマス”のフラグ

『カムカム』不穏な“クリスマス”のフラグ

 ついに明かされた、定一(世良公則)と錠一郎(オダギリジョー)の出会い。「Dippermouth Blues」で繋がっていたことに気づいたるい(深津絵里)と彼は、改めてお互いが運命の相手だと思ったに違いない。しかし、どこか不穏な空気の流れる『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第56話。

 大きな月の出る夜、定一は戦争孤児が屯している街すみに、最初から錠一郎を探しにやってきていた。「進駐軍から盗んだホットドッグ」「お前さっきの(ジャズ)好きか」というセリフから、定一が飛び入り参加したクリスマスパーティーの直後の出来事であることがわかる。この時るいの方はというと、母・安子(上白石萌音)から進駐軍のお土産としてクリスマスプレゼントのお菓子をたくさん貰っていた頃合いだろう。錠一郎がなぜ、ああも常にホットドッグを食べるのかも、名前の由来とともに判明した。確かるいの機嫌を損ねた時に「もうホットドッグ食べないから」と言っていたが、彼にとってそれほど大切なものをるいのために一瞬でも手放そうとしたそのセリフから、本当に彼女のことが好きな気持ちが改めて伝わってくる。

 前回の第55話では、竹村夫妻がるいの疑似的な両親として「“娘”をどうかよろしく」と錠一郎に頭を下げたのが印象的だったが、今回は錠一郎側の“父親”の話でもある。『カムカムエヴリバディ』は、安子とるいという血のつながった親子の関係性を厳しく描く一方で、こうして対比するかのように血のつながらない家族を温かく描くのが特徴的だ。

 そして次に描かれるのは、“家族”になろうとする錠一郎とるいの物語……のはずなのに、彼がレコーディングのために3カ月も東京に行ってしまうという展開に、なんだか心がざわついて仕方ない。「クリスマスには会えるよね」「そのまま住む家探そう」。まるで叶わなさそうな約束を勝手にされることほど、心がキリキリすることはない。未来は不確実なもので、特に恋愛においてはいつ人が心変わりをするかわからないから。

 なにせ、錠一郎がお世話になる笹プロの社長宅には令嬢の奈々(佐々木希)がいて、四六時中彼にべったりしている。ベリー(市川実日子)は最初から彼女が錠一郎狙いだと睨んでいるが、るいは彼を信じているので心配もしていない。確かに、錠一郎はあくまで奈々のサポートには感謝しているものの、なびかずにるい一筋のような感じだし、奈々は奈々でただ彼の“レコーディングを”真摯に手助けしているような様子だ。“そういう作戦”だとしたら怖いけれど。

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