『スパイダーマン』シリーズでメイおばさんを好演 自立した女性を体現するマリサ・トメイ
2007年のシドニー・ルメット監督作『その土曜日、7時58分』では、フィリップ・シーモア・ホフマン演じるアンディの妻で、義弟のハンク(イーサン・ホーク)と浮気しているジーナを演じている。本作で彼女がヌードを披露したことでも話題になったが、やるせない思いを抱えながら兄弟の間で揺れる彼女の演技が高く評価された。またその翌年、ヴェネチア映画祭で金獅子賞を獲得した『レスラー』でも、トメイは大きな注目を集める。彼女が演じたのは、中年レスラーのランディ(ミッキー・ローク)を精神的に支えるストリッパーのキャシディだ。自らも加齢による衰えを感じながら、ボロボロの身体に鞭打ってプロレスをつづけるランディを気遣う彼女。悲しいのは、ランディが老い衰えながらも周囲の尊敬を集めているのに対して、キャシディは周囲から年齢のために価値が下がったような扱いを受けることだ。自分を大切に思ってくれる彼を彼女自身も大切に思っているが、一線を引きつづける。シングルマザーとして苦しい生活を送るなか、彼女はランディに自分ができる最大限のサポートをしていた。まさに“男の生き様”を間近で見守る女性である。そしてこの役でも、トメイはアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。
その後も『ラブ・アゲイン』(2011年)や『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』(2011年)、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015年)など、話題作に出演をつづけるマリサ・トメイ。主演作は少ないながらも、どの作品でも存在感を示している。
自立した女性を体現するマリサ・トメイ
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数多くの作品に出演しているトメイだが、いわゆる主婦の役は非常に少ない。彼女は未婚の女性やシングルマザーの役柄を多く演じているのだ。一見セクシーで楽天的だが、実は複雑な内面や過去を抱え、破綻した男女関係にある(あった)精神的に傷ついた女性。そんな役柄をトメイは現実味をもって表現する。
もしかしたらそれは、トメイ自身のプライベートや価値観と関係しているのかもしれない。彼女は恋多き女性で、過去にはロバート・ダウニー・Jr.やレニー・クラヴィッツ、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』などの脚本家でプロデューサーのフランク・パグリースらと交際していた。2008年には、12歳年下俳優のローガン・マーシャル=グリーンとキスしているところを目撃され、実際に2012年まで3年ほど付き合っていたようだ。そんなトメイは自身の結婚観について、2009年のマンハッタン誌に次のように語っている。
「社会に認められるための結婚にはあまり興味がない。なぜ完璧な人間に見られるために、女性が子どもを持たなければいけないのかわからない」
まさに自立した女性を、役のうえでもプライベートでも体現しているのだ。
MCUのメイおばさん役で多くの人に知られるようになったマリサ・トメイ。彼女はアカデミー賞受賞歴も持つ実力派だ。またキャリアと自分の人生を充実させている、自立した女性でもある。俳優としても1人の女性としても活き活きと輝く彼女は、今後も多くの人たちにインスピレーションを与えていくだろう。
参照
Marisa Tomei engaged Logan Marshall Green - Celebrity News | Glamour UK(https://www.glamourmagazine.co.uk/article/marisa-tomei-engaged-logan-marshall-green)
■公開情報
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
全国公開中
監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル
出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ、アルフレッド・モリーナ、ウィレム・デフォー、ジェイミー・フォックス
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原題:Spider-Man: No Way Home
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