月9と月10はライバル関係? 『ミステリと言う勿れ』『ドクターホワイト』への期待

フジ月9と月10はライバル関係?

 2022年1月クールでは、田村由美の人気漫画を原作とする菅田将暉主演のミステリードラマ『ミステリと言う勿れ』が放送予定で、注目を集めている。じわじわとだが、月9の復活は近づいているのかもしれない。とはいえ、かつての月9と較べて物足りないという視聴者はまだまだ多いだろう。そんな物足りなさを補ってくれるのが月10のカンテレドラマだ。

 『アバランチ』は、映画『新聞記者』が賛否を呼んだ藤井道人がチーフ監督を務めた。物語は動画配信を用いて悪を裁くというテロリズムを題材としたものとなっており、硬派な映像と激しいアクションは見応えがある。テレビドラマの枠を超えようとする野心的な作品だ。1月クールは浜辺美波主演の医療ドラマ『ドクターホワイト』が放送される。

 これはカンテレのドラマが、監督や脚本家の作家性を尊重する独自路線を守り続けているからだろう。民放のドラマがどんどん保守化していく中、カンテレは攻めたドラマを作り続けて、金城一紀脚本の『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』や、坂元裕二脚本の『大豆田とわ子と三人の元夫』といった意欲作を送り出してきた。深夜枠や配信ではなく民放のプライムタイムで、このような先駆的なドラマが放送され続けていることは驚異的なことである。

 もちろん、カンテレドラマも完璧ではなく、クオリティに関しては玉石混交だ。『アバランチ』も、映像のクオリティに較べると脚本は粗い。話数が少ないため仕方ないのだが、新展開で視聴者を引き付けることを優先するあまり、魅力的な設定やキャラクターを活かしきれていない。こういった細部の描写は長編化している今の月9の方が上手に描けている。

 つまり、安定の月9と、何が飛び出すかわからない月10というのが両者の特徴だ。真逆ゆえに対立しているようにも見えるが、お互いに足りない部分を補完し合っているようにも見える。何より、両者の違いがはっきりと見えるのは、続けて放送されていることが大きい。両者の個性を際立たせたという意味において、月10の復活は大成功で「月曜夜はフジテレビのドラマ」というイメージは早くも定着しつつある。

 良い意味でライバル関係にあると言える月9と月10が今後、どんなドラマを打ち出すのか楽しみである。

■放送情報
『ミステリと言う勿れ』
フジテレビ系にて、1月10日(月)スタート 毎週月曜21:00~21:54放送
※初回90分スペシャル
出演:菅田将暉、伊藤沙莉、尾上松也、門脇麦、白石麻衣、鈴木浩介、筒井道隆、遠藤憲一ほか
原作:『ミステリと言う勿れ』 田村由美(小学館『月刊フラワーズ』連載中)
脚本:相沢友子
プロデュース:草ヶ谷大輔、熊谷理恵
演出:松山博昭、品田俊介、相沢秀幸、阿部博行
制作・著作:フジテレビ 第一制作部
(c)田村由美/小学館 (c)フジテレビジョン
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/mystery/
公式Twitter:https://twitter.com/not_mystery_?s=09
公式Instagram:https://www.instagram.com/not_mystery_not

『ドクターホワイト』
カンテレ・フジテレビ系にて、1月17日(月)スタート 毎週月曜22:00〜放送
出演:浜辺美波、柄本佑、瀧本美織、岡崎紗絵、片桐仁、高橋努、高橋文哉、勝地涼、宮田俊哉、毎熊克哉、小手伸也、石坂浩二
原作:樹林伸『ドクター・ホワイト千里眼のカルテ』(角川文庫)、『ドクター・ホワイト神の診断』(角川文庫)
脚本:小峯裕之
音楽:福廣秀一朗
プロデューサー:河西秀幸、小林宙
演出:城宝秀則、河野圭太、北坊信一
制作:カンテレ、共同テレビ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/dr_white/
公式Twitter:@dr_white2022
公式Instagram:@dr_white2022

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