『半妖の夜叉姫』坂本真綾が表現した美しい是露の最期 年内ラストは愛に満たされた回に

『半妖の夜叉姫』美しい是露の最期

 TVアニメ『半妖の夜叉姫』(読売テレビ・日本テレビ系)が第37話「是露の想い」で一つのクライマックスを迎えた。

 本作で序盤から描かれてきた、半妖を憎む妖怪・是露との長きに渡る戦い。前回、是露は現代社会で妹を思い続けていたとわの孤独や悲しみを暴いた。目的はただ一つ。怒りで我を忘れたとわにりんと縁で繋がった自分を殺させる、すなわち“母親を自身の手で葬った”という一生心に残る後悔や傷を負わせるためだ。理玖やりおんの声も届かず、是露に斬りかかるとわ。そんな彼女を救ったのは、妹のせつなだった。

 せつなが「所縁の断ち切り」を使いこなせるようになった今、もはや是露とりんの縁を切り離すことは容易い。しかし、それをりんは望まなかった。自分の命が脅かされてもなお、りんは憎しみに満ちた目をしている是露を気遣っていたのだ。

 「とわと是露様を救って」という母の願いを叶えるため、せつなは“あるもの”を預かってとわの元に駆けつける。“あるもの”とは、りんが夢の胡蝶に封印したせつなの記憶。姉妹が離れ離れになった山火事の日、とわが現代社会に飛ばされた後もせつなはずっと姉を探し続けていた。しかし、是露に呪いをかけられたりんの時を止めるため、夢の胡蝶に記憶と眠りを奪われ続けたせつな。“あの時、手を離さなければ”という後悔を抱えていたのはとわだけではなくせつなも同じ。自分を責め、相手を想う似た者同士の姉妹は涙を流しながら熱い抱擁を交わした。

 しかし、そんな2人を見て戸惑いを隠せない是露もまた、ずっとある後悔に苛まれていたのだ。所縁の断ち切りがせつなに導き出したのは、是露と犬の大将を繋ぐ縁。ずっと慕っていた犬の大将が命を落とすと四魂の玉が予言していたにもかかわらず、大妖怪である彼が負けるはずないと信じたい是露は何もできなかった。愛するものを守れなかった後悔、また「犬の大将の十六夜や犬夜叉=妖怪ならざるものへの愛が彼の身を滅ぼしたのではないか」という怒りが是露を支配していたのだ。りんはそんな是露の苦しみをわかっていたのだろう。

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