『カムカムエヴリバディ』“宇宙人”オダギリジョーが再び来店 るいの恋の結末も見えた?
るい(深津絵里)は、平助(村田雄浩)と和子(濱田マリ)の夫婦が営むクリーニング店で働き始める。シャツの汚れを落とするいの頭の中には、幼い頃に見た安子(上白石萌音)とロバート(村雨辰剛)の姿がある。るいはシャツの汚れが落ちる度に、過去のしがらみや悲しみが消えてなくなっていくような気がしていた。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が第9週初日を迎え、仕事に慣れつつあるるいの日常が描かれた。
ある日、竹村クリーニング店に一人の客がやってきた。るいはその男性、片桐春彦(風間俊介)からシャツを受け取った後、「お仕事もお人柄も堅実なんじゃろうなあ」「字もきれいじゃった。育ちがえんじゃろうなあ」と心の中で、彼の日常について考える。するとそこへ、るいが名前を聞きそびれた宇宙人(オダギリジョー)がやってくる。彼は大量の洋服をクリーニングに出した後、ひと月以上も店へ来なかった。るいにとって宇宙人の行動は不可解なものばかり。るいが棚から洋服を出す間、宇宙人は一言も発せずに、ただただ指でカウンターをたたいている。クリーニング代の支払いに、ポケットから大金を無造作に取り出す。るいは思わず心の中で「何で稼いだお金じゃ? 怖んじゃけど……」と困惑するが、るいがそんなことを考えているとはつゆ知らず、宇宙人は再び大量の洋服を置いていくと、名前を言わずに去ってしまった。宇宙人の洋服のポケットにはトランペットのマウスピースが入っていたが、るいはそれに馴染みがなく、宇宙人の正体の手がかりはつかめずじまいだった。宇宙人の日常が掴めず戸惑うるいと、淡々と洋服をクリーニングに出す宇宙人とのやりとりは面白い。先に登場した片桐とは対応も手渡されたお金の状態も正反対で、宇宙人の素性は謎が深まるばかりである。
またある日のこと。本を読みながら店番をしていたるいの元に、こわもての田中(徳井優)が怒鳴り込んでくる。言いがかりをつけ、カウンターを蹴り飛ばす田中に思わず立ちすくむるいだが、そこへやってきた片桐が田中を追い返した。片桐は弁護士の卵だと言う。片桐は頼んでいたシャツを受け取った後、「僕も好きです。O・ヘンリー」と言って去っていった。
物語中盤で、るいはO・ヘンリーの『善女のパン』の物語とクリーニング店で働く自分を重ね合わせていた。物語の主人公のミス・マーサは気になるお客さんの日常を夢想する。それはまるでるいの日常と同じ。そんなるいが大好きな物語を、片桐は「僕も好きです」と言った。片桐の背中を見送ったるいの微笑みは愛らしい。しかし『善女のパン』の結末を知る人には、るいの恋の結末も見えてしまったかもしれない。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか
写真提供=NHK