『呪術廻戦 0』の初動は『鬼滅』を超えるか チケットの売れ行きと作品性の違いから占う

『劇場版 呪術廻戦 0』の興収を占う

 また、公開された10月から年末にかけてコロナの状況は悪化し、劇場にハリウッド大作が本格的に戻ってきた7月末頃まで、『無限列車編』が劇場公開されていた。半年以上の上映に重なり、本作が強かったのは“ファミリー層映画”であったこと。小さい子供にもアツく支持されていたことから、子供だけでなく子供を連れて行く両親の分も含め、一回の上映で落ちるお金が大きい。そしてリピーターの存在が、さらに興収を成長させていったのである。

 それに対し、『呪術廻戦』はもう少し内容が大人向けだ。もちろん、幼い子供のファンもいるはずだが『鬼滅の刃』のようにあらゆるキャラクターの感情や状況がセリフとなって説明される設計でもなければ、“呪術”や“術式”など少し概念を理解するのに難しい要素もある。加えて、『鬼滅の刃』は一貫して「家族」をテーマにしていることに対し、『呪術廻戦』は“死”や“呪い”という負の感情に焦点を当てている。こういった作品性からも、リピーター層は家族という団体というより、個人になっていくのではないだろうか。そうすると、『無限列車編』に比べて一回の上映で落ちるお金は自然に少なくなる。

 とはいえ、『0』も負けていない。作品公式Twitterの映画化決定のツイートの反響はそれぞれ『無限列車編』が「11.5万RT 21.9万いいね」、『0』は「20.1万RT 40.5万いいね」である。(引用RT除く)(本稿執筆時、12月23日時点)

 何より、先に劇場版の必要性について述べたが、裏を返せば『0』はアニメやコミックを追っていない、『呪術廻戦』を初めて観る人でも理解できる内容となっている。これが吉と出るか。

 『無限列車編』も当時はここまでの数字を誰も予想していなかったため、『0』の今後の興収推移も期待したいところだ。

■公開情報
『劇場版 呪術廻戦 0』
12月24日(金)公開
声の出演:緒方恵美、花澤香菜、小松未可子、内山昂輝、関智一、中村悠一、櫻井孝宏
原作:『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』芥見下々(集英社 ジャンプ コミックス刊)
制作:MAPPA
配給:東宝
(c)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
公式サイト:jujutsukaisen-movie.jp
公式Twitter:@animejujutsu

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