『言霊荘』最終回は“どこにも行けない”結末に 全話を通して変幻自在だった西野七瀬の演技

『言霊荘』“どこにも行けない”最終回

 西野七瀬が主演を務める『言霊荘』(テレビ朝日系)が12月18日に最終回を迎えた。

 最終章に突入した第9回でそのベールを脱いだアパートの管理人の須貝空(菜々緒)。作家の三葉(藤井美菜)、オーナー・葉鳥(佐野史郎)との愛憎入り混じる関係性が明らかとなり、最終回ではアパートに取り込まれた住人たちを解放するようにコトハ(西野七瀬)が三葉の骨壷を持ち説得に乗り出すという展開だ。

 この最終回では空、三葉、葉鳥を巡るさらなる真相が語られている。まず葉鳥と一緒になることを選んだ三葉に裏切られたという憎悪から、三葉を絞殺した空。だが、三葉も最期に「やっぱりあなたがいい。あなたに包まれたまま死ねるなんて、幸せ」という言葉を残していた。それを聞き空が口にしたのは「これであなたは永遠に私のものよ」と言った一言。美しくも切ない愛憎劇であることに変わりはない。ちなみに、第1話からタイトルバック時に聞こえていた女性2人の会話は空と三葉のセリフである。

 そして、その愛憎劇を企てていた黒幕は葉鳥。彼の目的は三葉になりきって空が書き上げた新作原稿にあった。悶えるような愛憎が描かれた妖艶で美しい文章──異性に略奪された感情から空は至高の文学作品を生み出していた。「燃えろ。燃えてなくなれ」という初めての言霊で原稿を燃やしてみせた空を葉鳥は、シーツで絞めあげ浴槽で溺死させる。空は失踪していたのではなく、葉鳥によって殺されたのだ。ここまで空が葉鳥を生かしておいたことは理解しがたく、当然葉鳥も空に殺される運命となる。シーツで絞めあげられ、浴槽で溺死という空と同じ苦しみを味わって。

 主演の西野七瀬は、本作でコトハとして様々な表情を見せてきた。ホラー作品として恐怖に慄く表情をベースに、序盤は夢見がちで天真爛漫な天然女子、怖がりのくせに好奇心旺盛といったキャラクター性が強かった。しかし、自分がアパートの封印を解いてしまったことを自覚すると同時に、友人の紗香(三吉彩花)が命を落としてしまった原因は自分にあるのではないかと責任を背負う形となり、徐々にその表情は勇敢で強き者に。今回の空への説得シーンはその最たるものと言えるだろう。

 空の霊が取り憑き、狂気的な演技を見せた回もあった。そして、最終回のラストでは彼女としての愛らしい表情も。ずっとアプローチし続けていたレイシ(永山絢斗)の言霊が、やっとコトハに届いたのだった。

※以下、“ラスト27秒”の結末に触れています

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