木村多江、エリコ役で“のほほん”女優に 何もかもが見間違えるほどのそっくり具合
現在放送中のドラマ『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(NHK総合)(以下『のほほん』)が12月20日に最終回を迎える。本作は、渡辺江里子と木村美穂から成るお笑いコンビ「阿佐ヶ谷姉妹」の日常を描いたエッセイが原作だ。
そんな本作で仕事も生活もともにする疑似姉妹の姉・エリコを演じているのが木村多江だ。近年、木村は“怪演女優”と呼ばれている。視聴者の中には、かつて“薄幸系”と呼ばれていた木村の印象を覚えている人もいるはずだ。しかし2018年に放送された『あなたには帰る家がある』(TBS系)で木村が演じた綾子は、一見か弱そうな薄幸美人に見えるのだが、回を追うごとにその本性があらわになる。不倫相手への執着を感じさせる強烈な言動と悪びれた様子のない無邪気な笑顔に、視聴者は恐怖を抱いたに違いない。
また、一躍考察ブームを巻き起こしたドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)では、一人息子を溺愛するあまり豹変する専業主婦・榎本早苗を熱演。このキャラクターも、物語序盤はほんわかとしていて誰からも好かれるような印象を抱かせるのだが、中盤でその表情を一変させ、鬼の形相で主人公に襲いかかる、ハンドミキサーを持って暴れまくるなど、これまでの木村の印象を全てかっさらっていくような衝撃的な姿を見せた。
12月10日に公開された『あなたの番です 劇場版』でも早苗のアクの強さは健在。物語の展開上、ドラマ版に比べると出番は少ないのだが、息子を思う過剰な愛とそれに伴った言動は終始怪しく、物語に緊張感をもたらす人物の一人だった。ネタバレになってしまうので詳細な描写は控えるが、息子を心配してとったある行動があまりにも突飛で、思わず笑ってしまうほど。現実でいきなりその行動を取られたら、おそらく大半の人は引いてしまうと思うのだが、早苗という人物がもつ狂気と劇中の喜劇的要素のバランスが絶妙で、改めて木村の“怪演女優”としての本領を思い知らされた。