『ラジエーションハウスII』窪田正孝らが生み出したハイライト 映画化決定で高まる期待
シーズン1では院長だった大森(和久井映見)が循環器内科長として甘春総合病院に復帰してから、頻繁に出入りしていた503号室。一時は大森の隠し子かもしれないと噂も立てられていたその部屋の患者は、ひとりの妊婦であった(そういえばシーズン1の最初の頃は、唯織が大森の隠し子なのではという疑惑もあったはずだ)。そして前回のラスト、ラジエーションハウスにやってきた大森はあるエコー画像を唯織(窪田正孝)たちに見せ、「皆さんの力を借りる時が来ました」と告げたのである。
12月6日に放送された『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』第10話(フジテレビ系)は、シーズン2の大詰めともいえるエピソードとなる。純系肺動脈弁閉鎖症で治療が必要な胎児。その母親である503号室の妊婦・池田しずく(伊藤歩)は心臓カテーテル手術を希望していたが、甘春総合病院で前例のない治療法のため灰島(高嶋政宏)は許可を下ろさず。それどころか鏑木(浅野和之)に次期院長のポストをチラつかせながら、大森を担当から外すことを命じ、外科手術をするように指示するのである。そんな中、しずくの追加検査が行われ、胎児は食道閉鎖症も起こしていることが発覚するのだ。
「患者の望みに応えるのが医師の仕事」と語る大森が、なぜカテーテル手術にこだわるのか。そして甘春総合病院の院長職を辞してまでワシントンに渡り、専門外の小児の心臓カテーテルを学んでいたのはなぜなのか。このシーズン2の最大の“謎”であった部分に触れていった今回のエピソード。その背景にあったのは、5年前に大森が勤めていた別の病院で、しずくの最初の子供が同じように純系肺動脈閉鎖症であることがわかり、外科手術の末に合併症で亡くなった過去であった。唯織の言葉に触発された鏑木がゴーサインを出し、今度こそ助けたいという大森の強い思いの果てに描かれる心臓カテーテル手術のシーンは、このシーズン2の最大のハイライトといえよう。
シーズン1のクライマックスでも甘春元院長(佐戸井けん太)の腰椎のブラッドパッチを行うシーンが緊張感をもって描かれたように、普段は検査をして診断を下すのが主であるラジエーションハウスの仕事が、密接に“その先”とも関わっていることを改めて実感させられる。数ミリの誤差も許されない、わずか一瞬の作業のためにすべてを懸ける医師と、それをバックアップする技師の姿。そういった意味では、描かれるものこそ従来の医療ドラマと同じであっても、その描かれ方はまるで異なる。また、同じくシーズン1の終盤でフォーカスが当てられたように、やはり長年にわたって“正しい診断を下して治療方針を導く”ことをしてきた鏑木こそ、このドラマの影の主役と思わずにいられない。