『カムカムエヴリバディ』朝ドラ史上でも類を見ない幸せな15分間 夫婦となった稔と安子
「幸せな15分間」ーー『あさイチ』(NHK総合)で朝ドラ受けを務める一人、鈴木奈穂子アナウンサーの一言に思わず頷いた。
『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第15話で、安子(上白石萌音)と稔(松村北斗)が結ばれた。家柄や跡継ぎ問題を乗り越えて、ようやく両家に許された結婚だ。幸せムードに水を差すことを承知で言ってしまえば、そこには稔の出征が決まっていること、跡継ぎ以前に戦争の影響によって「たちばな」が経営できる状態にないことも絡んでいる。ただ、一番の決め手となったのは、安子と一緒になることを雉真繊維にとっての損得勘定で判断していた千吉(段田安則)が率先して2人を結ばせようとさせたことだ。
稔の父と明かさずに「たちばな」に足を運んだ千吉は、相手を思いやる安子の接客に、心の優しさと「たちばな」の堅実な商いを感じ、まだまだ未熟な稔にはそんな安子のような女性が必要であることを悟ったのだった。そのことを告げ、颯爽と去っていく千吉に稔は深いお辞儀で敬意を示す。
ここまででタイトルバックも含めてわずか3分。頭取の娘と祝言を挙げるために大阪から岡山にやってきたはずの稔が「安子ちゃん。僕と結婚してください」とプロポーズをする、まさに急転直下の展開だ。両家への挨拶も済ませ、安子は美都里(YOU)から代々雉真家に伝わる髪飾りを付け稔との祝言を挙げる。
9分過ぎからは、早くも新婚生活がスタート。雉真家の女中・タミ(西川かの子)から「若奥様」と呼ばれる、安子にとっては第2の人生の幕開けだ。そして同時に美都里とは嫁姑の関係性に。愛する稔を取られた美都里は安子を嫁いびりするものの、言われるよりも先に朝食の準備をする安子の方が一枚上手。すっかり千吉も安子側についている。
結婚を機に、2人にはある変化が。稔が「安子」と呼び捨てでフランクに話すようになったのだ。安子は稔の両親の前ということもありまだ敬語が取れないが、2人の間には確実に幸せな雰囲気が漂っている。