『アナと雪の女王2』は洗練されたエンタメ作 気候変動に対する重要なメッセージも
だが『アナと雪の女王2』との違いは、子どもたちの親や祖父母世代の我々がまだ生きている、という点だ。子どもたちに負の遺産を残さないためにも、大人たちが正しい選択をして少しでも世界を良くしていかなければいけない、と本作は訴えかける。
子ども向けアニメでそんなスケールの大きい話をされても...…と思うかもしれない。世界を変えることができるのは何か特別な力がある人だけだと。でもそれは違う。本作で問題解決の鍵を握るのは特別な力を持つエルサではなく、持たざる者であるアナなのだ。
アナの勇気ある行動が彼らの世界をより良く大きく変えていく。特別な力がなくとも、一人一人の正しい行いできっと世界は変えられると、そんなメッセージが本作には込められている。
一方でそんな重いテーマ性もありながら一切の説教臭さを感じさせず、作品としては非常に洗練されたエンターテイメント性に満ちた作品である、ということは再度念押ししておきたい。明確なヴィランは存在せずとも、アナとエルサは仲間と協力し合い、清らかな心と勇気で困難に立ち向かっていく。大人たちがかつて夢中になったジブリ作品やジャンプ作品のような、夢とロマンに満ちた冒険がそこにはある。
あらゆる年代や性別の壁を越えて、人々の目を輝かせ、心を踊らせる力を持ちながら観終わった後にそのテーマ性に気づき考えさせられる『アナと雪の女王2』。目を向けるべき様々な問題を抱える今の大人たちにこそ観てほしい作品だ。
■放送情報
『アナと雪の女王2』
日本テレビ系にて、11月19日(金)21:00~22:54放送
※本編ノーカット
監督:クリス・バック、ジェニファー・リー
製作:ピーター・デル・ヴェッコ
脚本:ジェニファー・リー、アリソン・シュローダー
音楽:クリストフ・ベック
(c)Disney