『ルパン三世』は“なんでもあり” 辻真先、押井守も脚本を担当した第4話までを振り返る

『ルパン三世』は“なんでもあり”

 『ルパン三世 PART6』放送第1回目は『EPISODE0 ―時代―』と題して、50年間演じ続けた次元大介役を勇退する小林清志に捧げた1本。脚本家やキャラクターデザイン、そしてルパンの青いジャケットの色などを見る限り『PART4』~『PART5』の延長線上で制作されているが、ラストシーンで緑色のジャケットに着替えるルパンを見せて、上手いこと『PART6』への橋渡しが行われている。

 第3話はテレビアニメの黎明期から長いキャリアを誇る辻真先の担当回。鉄道マニアの富豪が道楽で作った箱庭鉄道に、伝説の切符を盗み出そうとするルパン一味を絡めつつ、コスプレパーティー、メイド服の不二子など小粋な設定を配置したナンセンスコメディだ。『ルパン三世 PART2』(1977~1980年)の懐かしい雰囲気を感じさせる、どこかノスタルジックで愉快な話だった。

 第4話は異色の監督作品が多いことで知られる押井守の脚本回。過去の押井作品を熟知するファンにとって「いつもの押井さんのスタイル」と評される内容だっただろう。だが一方で『PART4』以降のルパン三世から入ってきた若い視聴者層や、押井守の芸風を知らない人にとっては、30分のほとんどが会話劇で、呆気にとられる退屈な話に映ったとも思える。ルパン本人が全く登場しないAパートと、ルパンの長台詞で事件の顛末を語るBパート。なによりこの回がヘミングウェイの短編小説を元ネタにしている点を飲み込んでいないと、散りばめられた小ネタの数々も楽しめないだろう。だが50年という長い歴史の中で、こういう風変わりな単独エピソードも放り込める点こそが『ルパン三世』のポテンシャルの高さの証明でもあり、これからの可能性も感じさせてくれる。そう、『ルパン三世』は“なんでもあり”なのだから。

 すでに第2クールのキービジュアルとあらすじも公開されている本作が、この先どんなサプライズを提供してくれるのだろうか。楽しみにしたい。

■放送情報
『ルパン三世 PART6』
1クール目:日本テレビ系にて、毎週土曜24:55〜放送中
2クール目:日本テレビ系にて、2022年1月より放送
 Huluほかにて配信中
声の出演:栗⽥貫⼀、⼤塚明夫、浪川⼤輔、沢城みゆき、⼭寺宏⼀
原作:モンキー・パンチ
監督:菅沼栄治 
シリーズ構成:村越 繁
キャラクターデザイン:丸藤広貴 
美術監督:柏村明香、佐藤 勝、松宮由美、小倉宏昌、西澤 航、Tram Anh Nguyen
色彩設計:宮脇裕美
撮影監督:佐々木明美
編集:吉武将人
音響監督:清水洋史
音響効果:倉橋裕宗
音楽:大野雄二
メインテーマ:「THEME FROM LUPIN III 2021」
作曲:大野雄二編曲:大野雄二演奏:Yuji Ohno & Lupintic Six with Friends
制作:トムス・エンタテインメント
製作:ルパン三世PART6製作委員会
(c)TMS・NTV
公式サイト:lupin-pt6.com
公式Twitter:@lupin_anime

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