『おかえりモネ』最終回で描かれた希望と願い 清原果耶×坂口健太郎の抱擁は未来の象徴に
朝ドラにおいて、ほとんどの場合、物語の中で描かれているのが「戦争」もしくは「震災」だ。『おかえりモネ』はその後者を大きなテーマに据えた物語であるが、同時に朝ドラとして初めて「コロナ禍」に触れた作品でもあった。船を購入した亮が初めて海に出る日を迎え、耕治もまた永浦水産を継ぐため龍己(藤竜也)とともに海に向かった、2020年2月。そこから物語は数年後に。「数年後」とテロップが出るが、百音に駆け寄る菅波(坂口健太郎)の「2年半会ってない」というセリフから、2022年7~8月頃であることが分かる。つまり、パンデミックの前兆が出始めた時期から、我々が生きる今よりも先の未来を描いていることとなる。
菅波は呼吸器専門の医者。「感染症」という直接的なワードとともに先輩医師の中村(平山祐介)から招集がかかり、気仙沼から東京へととんぼ帰りとなったが、そこからの日々は想像に難くないだろう。2年半ぶりに会えた、百音と菅波。両手を広げて彼女を受け止めようとする菅波に、百音は躊躇しながら「いいんですか?」と尋ねる。それに菅波は「いいと思いますよ、もう」と返し、2人は笑顔で抱き合う。百音がかける「先生、本当にお疲れ様でした」の言葉は、医療従事者として尽力した労いの言葉。『おかえりモネ』が最後に描いたのは、会いたい人に隔たりなく会える/触れられる、私たちが思う輝かしい未来、そして祈りのような希望と願いだ。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK