前田航基×高田彪我、『おかえりモネ』のリアルな関係はいかにして生まれた?
10月29日に最終回を迎えるNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』。作品の中で、視聴者がとりわけホッとできるシーンが、主人公・百音と幼なじみたちとの会話だ。そんな幼なじみの中でも、地元で働くことを選んだのが、父の後を継ぎ僧侶となる路を選択した三生と、仙台の大学に進んだのち、再び故郷に戻り市役所で働く悠人だ。三生を演じた前田航基、悠人を演じた高田彪我は『おかえりモネ』を通して、何を得たのだろうか。
涙無しには読めなかった最終週の台本
ーークランクインから約1年が経過しました。振り返ってみていかがですか?
高田彪我(以下、高田):気づいたら1年も経っていたという感覚です。
前田航基(以下、前田):始まったときはこれから長期間の撮影だなと思っていたんです。でも、今は喪失感というか、勝手に「モネロス」になってしまっています。
高田:ロスしてるね、確かに。
前田:回想シーンの中学生もあり、19歳からはじまって24歳まで演じました。振り返ってみると、三生として、みんなと仲良く歳を重ねることができたことが、すごい幸せだったなと思います。
高田:最後の台本をいただいて、最終ページに「終わり」って書いてあったときは、本当に寂しい思いでした。ついに終わっちゃうんだって。
前田:22週から24週まで、台本を読んでいても涙が止まらない状態でした。お話がまとまっていく形に震えるものがあったというか。
高田:そうだね。改めて、悠人として歳を重ねて、大人になったと言いますか、少しだけ親の気持ちもわかるような感覚もありました。
前田:確かに。本当に観てくださるファンの方がいるのも嬉しいんですけど、僕たち自身が『おかえりモネ』のファンになれた、そういう作品に出会えたのは幸せだなと思っています。
ーー三生が幼なじみのみんなから、バリカンで苅られるシーンは後半戦の中でも名シーンのひとつでした。改めてあのシーンの裏側を教えていただけますか。
前田:ひとつの役で金髪になって、違う髪型になって、地毛で坊主になるなんてすごい体験ですよね(笑)。髪型と同じように三生の心も変化していく。改めてやりがいのある役を演じさせていただいたなと感じています。幼なじみのみんなに剃ってもらえて、三生はすごく幸せ者だなと思いましたし、愛されているなと感じました。
ーー三生は家を継ぐと決心するまでに紆余曲折ありましたが、共感する部分も?
前田:共感する点は多かったです。幼い頃からお芝居をさせてもらっていましたが、最初はお芝居が楽しいという以前に、オーディションに受かるのが楽しいというところから始まったんです。でも、徐々にお芝居ということを意識していって仕事にするかどうかと悩んだ時期がありました。三生のように家業ではないにしろ、なんとなく行く道があるという学生時代を僕も過ごしたので、感情移入しやすい部分はありました。
――高田さんは前田さんにバリカンを入れてみていかがでしたか?
高田:僕もまさか人の頭にバリカンを入れるとは思ってもみなかったです(笑)。なので、マネキンで練習もしました。バリカンを入れるなんて、本当に深い関係ではないとできないものだと思うので、幼なじみの絆を語る上でも、このシーンは必要不可欠だったように思います。そんなシーンに携わることができてすごくうれしかったですね。
ーー三生は最初は金髪で、そのあとはラッパー風の髪型になり、最後は坊主。登場人物の中で最も髪型が変化したキャラクターでした。高田さんも前田さんに会う度に違う髪型だったのでは。
前田:(笑)
高田:確かに毎回違う髪型でしたね(笑)。髪型が変わる分、印象は変わるのに、三生くんの中身の芯の強さ、思いの強さというのは変わらないんだなというのは見ていてすごく思いましたね。
前田:良いこと言ってくれる(笑)。
ーー高田さんは演じた悠人のどんなところが気に入っていますか。
高田:中学校の時から変わらない髪型です(笑)。
前田:(笑)
高田:ちょっとずつ動きをつけたりはしているんですけどね(笑)。みんなに彼女が出来たことを報告しているときとか、ちょっとオシャレになっているんですよ。三生は髪型が変わることで心の変化も起きていると先ほど話に出ましたが、逆に悠人は変わらないことが、地元愛を貫くことにも繋がっているのかなって。それが最終的に役所に勤めることになると。悠人の追求心、探究心は個人的に共感もできるし、好きなところですね。