タランティーノ、引退作はコメディ映画を構想中? 「考えている時間が楽しい」
『パルプ・フィクション』(1994年)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)などを手がけるクエンティン・タランティーノが次回作の構想について胸中を明かした。
これまで、「監督として10作品の映画を手掛けたら引退する」と公言してきたタランティーノ。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は9作目にあたり、いよいよ次回作での引退が濃厚になる。そんな中、タランティーノは現在開催中のローマ国際映画祭で功労賞を受賞。その際に、次回作について「わからない」と名言は避けつつも、マカロニ・ウエスタンを意識したコメディ作品に関心があると明かしている。
彼のこれまでの作品はマカロニ・ウエスタンの影響を色濃く受けている。イタリア西部劇を牽引した監督、セルジオ・レオーネ(1989年没)を敬愛しており、自身の作品『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』はレオーネの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984年)からの引用であり、レオーネ作品の作曲を担うエンニオ・モリコーネの楽曲を『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年)で使用するなど、その愛は随所に散りばめられた。こうした流れからも、10作目の構想にマカロニ・ウエスタンの要素を用いることは不自然な流れではないだろう。自身の映画体験を積極的に作品に反映することの多いタランティーノだからこそ、次回作にもまた多くのオマージュが捧げられることも期待できる。
タランティーノ作品といえば、その長尺な台詞回しと強烈なバイオレンス、そして音楽を選ぶセンスなど独特の個性が際立つ。ストーリーに影響のない何気ない会話劇は、時に冗長であるほどだが、一転、その会話劇での緩みを締めるように派手なアクションシーンが挿入される。まさに、緩急ついた演出に軽快な音楽が乗せられる独特なテンポがクセになる。映画とカルチャーを愛したタランティーノが、それらをマッシュアップして生み出す作品はまた、多くの映画好きへと届き、時代を超えて愛される。
これまでもタランティーノの10作目を示唆するニュースや、10作目で引退する意志があるのかを問うニュースは配信され続け、多くの映画ファンがタランティーノの輝かしいキャリアのラストを飾る作品に期待を寄せていることは容易に想像できる。真相はタランティーノ自身にしかわからないものの、この日のトークでは「次をどんなプロジェクトにするか考えている時間が楽しい」とも明かしており、構想は着実に彼の頭の中で練られているようだ。
※参考:https://collider.com/quentin-tarantino-new-movie-spaghetti-western-comedy/