坂口健太郎=菅波先生から目が離せない 『おかえりモネ』は次なるステージへの架け橋に

俺たちの菅波こと“坂口健太郎”とは何者か

 いよいよ佳境を迎える朝ドラ『おかえりモネ』(NHK総合)の登場人物たちのなかでも、とくに熱い支持を集めている“菅波先生”こと菅波光太朗。演じているのは、『とと姉ちゃん』(2016年)に続いてこれが2度目の朝ドラ出演となった坂口健太郎だ。“ヒロインの相手役”という朝ドラにおいて注目を集める最重要ポジションであることはもちろんだが、菅波先生のキャラクター性と坂口の演技のマリアージュが好評を博し、ツイッターでは「#俺たちの菅波」がトレンド入りしたほど。いずれ「菅波ロス」が起こること必至だろう。

 本作における菅波先生の立ち位置をざっくりと記しておこう。彼が登場してきたのは、物語でも序盤の方。“モネ”の愛称で親しまれるヒロイン・永浦百音(清原果耶)が故郷の気仙沼から就職のために出て行った先で、菅波先生は彼女と出会った。彼はかつてモネが勤めていた米麻町森林組合に併設されている「よねま診療所」の医師で、現在は東京の大学病院にいる。モネが気象予報士になるのを導き後押しした存在であり、東京の気象情報会社での活動を経て再び故郷へ戻った彼女の恋人である。つまり現在の二人は恋愛関係にありながら、離れて生活をしているのだ。結婚の話は、現在のところ保留となっている。

 “変わり者”として登場してきた菅波先生。その不器用さが愛おしい人物で、物語序盤ではモネとどのような関係になるのか想像がつかなかった方も少なくないのではないかと思う。しかし不器用だからこそ、絞り出すように口にする誠実な言葉の一つひとつが胸を打った。モネはどうにも、“我を通す”ということが苦手な人物だ。物語が進むにつれて次第に変わってはきたが、まだまだ幼かった物語序盤の方では、それが顕著だったように思う。これは元来の彼女の性格も影響しているのだろうが、故郷の人々と同じように被災を経験できなかったというのは大きいのだろう。ときおり妹の未知(蒔田彩珠)から責められることがあったし、しばしば彼女自身もそのことを漏らしていたと思う。ある種の後ろめたさからか、“我を通す”ことを避けてきたのだ。そんなモネを変えたのが、菅波先生の存在。ときに軽い衝突を起こしながらも、彼の核心を突いた言葉たちはモネに響いてきたのである。

 口下手であったり、人と関わるのが苦手であったり、伝えることが苦手な人物が懸命に何かを伝えようとするに姿は、観ていて心を動かされるものがある。なぜなら、自分が苦手としていることを乗り越えてまで他者と関わろうとする姿勢を、そこに読み取ることができるからだ。この不器用な菅波先生を、坂口は非常に器用に表現してきた。例えば、「あなたの投げるものなら、全部取ります」などの菅波先生のセリフは基本的に台本に書かれていたもののはずだが、これをさらに魅力的なものにしたのは坂口自身だ。独自のテンポ感のある発話は初登場時から強く印象に残り、大切な言葉を口にする際の“力み加減”も絶妙だった。これらに続くかたちで、彼の一挙手一投足からも目が離せなくなったというものだろう。



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