『二月の勝者』柳楽優弥演じる黒木の名言に心打たれる 子役キャストにも注目
ーーと、感動物語で終わらず、ざっくりと「現実」を斬り込み、描いているのが本作の面白いところだ。受験に必要なものは「父親の経済力と母親の狂気」、両親は「ATM」、塾講師は「サービス業」だと言い切る黒木。多少のオブラートは必要だろうが、悲しいかなこれが現実だ(もちろん、例外はあるが)。そして「勉強は格段に努力のリターンが得やすい」、これもまた事実である。
佑星の可能性は無限だ。世界に羽ばたく未来、最高峰の高校・大学で学ぶ未来、もちろんサッカー選手になれる未来だってある。選択肢は、迷うほどあったほうがいい。可能性を狭めず、未来を選べる人間になるためにできることーー黒木は佑星の長い人生を見据えた上で、数字的根拠を踏まえ、より実現可能な近未来を提案した。それが「中学受験」だ。
黒木の言葉を反芻し、家族一丸となって頑張ろうと決めた三浦家。あえて意地の悪い表現をすれば、黒木の営業サービストークを信じて乗っかった家族の図、ともいえる。ウィンウィンの関係だ。しかしそれで良いではないか。とどのつまり来年の二月、双方が共有する目標を叶えることさえできればなんの問題もないのだから。
最後に、かつて佐倉が中学教師を辞めたきっかけが明かされた。自分の将来を自ら選ぶことをしなかった子ども、選ばせてやれなかった大人の縮図だった。受験において合否はもちろん重要だが、それよりも大切なのは「納得して選んだか/選ばせてやれたか」。後者の後悔は、消えないしこりとなっていつまでも疼くことを、我々大人は大なり小なり知っているだろう。
桜花ゼミナール社長・白柳役に岸田一徳、癖が強めの「努力と根性」講師・橘役に池田鉄洋、名門塾「ルトワック」エリート講師・灰谷役に加藤シゲアキと豪華キャストが揃い踏み。
これから登場する生徒たちとその家族も、“さまざま”を抱えていることだろう。黒木はどう導き、どんな金言が飛び出すか。令和のお受験事情を描きつつも、どこか不思議な懐かしさを持つ本作。最終話放送日には視聴者と祝杯をあげる気持ちで、見届けたい所存だ。
■放送情報
『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:柳楽優弥、井上真央、加藤シゲアキ、池田鉄洋、瀧内公美、今井隆文、加治将樹、住田萌乃、岸部一徳ほか
原作:『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』高瀬志帆(小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』連載中)
脚本:成瀬活雄
音楽:小西康陽
主題歌: DISH//「沈丁花」(ソニー・ミュージックレコーズ)
テーマソング:NEWS 「未来へ」(Johnny’s Entertainment Record)
演出:鈴木勇馬ほか
プロデューサー:次屋尚、大塚英治(ケイファクトリー)
制作協力:ケイファクトリー
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/2gatsu/
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