スーパーマンがバイセクシュアルに アメコミヒーロー界におけるLGBTQのこれまでと未来

実は多い、アメコミ界のLGBTQキャラ

 10月11日、DCコミックスがクラーク・ケントの息子であるジョナサン・ケントがバイセクシュアルとしてカミングアウトすることを明らかにした。11月に発売される『スーパーマン』シリーズ最新号で、彼が友人で記者のジェイ・ナカムラと恋愛関係になるという。同社は、2人がキスをしている画像もプレスリリースとして提供した。今年7月からはじまった新シリーズ『Superman: Son of Kal-El(原題)』の主人公であるジョナサン・ケントは、クラーク・ケントとロイス・レインの息子。彼は父のヒーローマントを受け継ぎ、2代目スーパーマンになった。できる限り多くの人を助けようと奔走してきた彼は、あるとき「心も体も燃え尽きる」。そんな彼をケアしてくれたジェイと、ロマンスがはじまるのだという。

 今回の発表に賛同するファンもいれば、反対するファンもいる。しかしアメコミ界では、もはやLGBTQのヒーローやキャラクターはそれほど珍しくないのだ。今回はそんなアメコミのLGBTQキャラクターを紹介しつつ、その存在意義について考えてみよう。

意外と多い、アメコミ界のLGBTQキャラクター

 まずはスーパーマンと同じ、DCコミックスのLGBTQキャラクターから紹介していこう。ブルース・ウェインのいとこであり、失踪した彼の跡を継いでバットウーマンとなったケイト・ケインはレズビアンだ。2019年から放送が開始されたドラマ版でもその設定は反映されており、12歳のときにレズビアンであることをカミングアウトしたルビー・ローズがケイトを演じたことでも話題になった。またDCコミックスを代表する人気ヒーロー、ワンダーウーマンはバイセクシュアル。映画『ワンダーウーマン』(2017年)ではスティーブとのロマンスが描かれる傍ら、女性しかいない島で暮らしてきた彼女に、彼と出会う以前にも恋愛経験があったことがほのめかされている。

『ワンダーウーマン』(c)Warner Bros. Entertainment Inc. TM & (c)DC Comics

 一方で、これまで4度も映画作品に登場しながら、バイセクシュアルであるということが明言されてこなかったのがキャットウーマンだ。同じくバイセクシュアルで悪魔祓い師のジョン・コンスタンティンは、2005年にキアヌ・リーブスが主演を務めた映画版ではそうした側面が描かれなかったものの、2015年のドラマ版ではしっかりと反映されている。また、大人気ヴィランのハーレイ・クインもバイセクシュアルだ。ジョーカーとの恋愛関係が取り沙汰されることの多い彼女だが、2011年以降のコミックスでは別行動するようになり、2017年には公式にやはりヴィランのポイズン・アイビーとカップルになった。

『デッドプール』(c)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

 さてマーベルはというと、映像作品で率先してセクシュアリティを明言したのはデッドプールだ。彼は原作でもパンセクシュアル(全性愛者)で、恋愛や性愛の相手の性別は固定されていない。また『デッドプール2』(2018年)には、ユキオとネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドのレズビアンカップルが登場している。『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年)に登場したヴァルキリーはバイセクシュアルだが、同作では彼女のセクシュアル・アイデンティティは、ほんの少しほのめかされるに留まった。しかし次回作『ソー:ラブ・アンド・サンダー(原題)』では、その点がしっかりと掘り下げられるというので期待したい。

ディズニープラス オリジナルドラマシリーズ『ロキ』(c)2021 Marvel

 ドラマ『ロキ』(2021年)では、ロキもバイセクシュアルであることが明らかに。また『エターナルズ』(2021年)に登場するファストスはゲイで既婚者、子どももいる。『ドクター・ストレンジ:イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題)』に登場予定のアメリカ・チャベスはレズビアンだが、映画ではどのように描かれるのだろうか。マーベルは映像作品でも積極的にキャラクターのセクシュアリティを反映させているように見えるが、実はコミックスでは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのピーター・クイルもバイセクシュアルだ。映画ではそのことは明言されず、ガモーラとのロマンスが描かれたからといっても、この設定は無効にはならないのだろう。

 映像作品にも登場している有名キャラクターをざっとを挙げただけでも、意外に多い、と思った人もいるのではないだろうか。今回の件、ジョナサン・ケントもこの列に加わったということだ。



インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる