アカデミー賞受賞スタッフが中世フランスを再現 『最後の決闘裁判』制作秘話が明らかに

『最後の決闘裁判』制作秘話が明らかに

 映画『最後の決闘裁判』の制作秘話がスタッフによって明かされた。

 本作は、アカデミー賞脚本賞を受賞した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』以来のタッグとなるマット・デイモンとベン・アフレックによる脚本を、『ブレードランナー』『オデッセイ』のリドリー・スコットを監督に迎え映画化したもの。

 史実としていまだに真相不明なフランス最後の決闘裁判を、事件を告発した被害者マルグリット(ジョディ・カマー)、その夫カルージュ(マット・デイモン)、訴えられた容疑者ル・グリ(アダム・ドライバー)という登場人物3人の視点で描く。

 本作の撮影が行われたのは2020年。途中、コロナ禍によって数カ⽉に及ぶ撮影中断を余儀なくされながらも、フランスとアイランド両国で、各地に現存する保存状態の良い城を利⽤しながら撮影されており、カルージュとマルグリットの結婚式シーンでは、ヘアとメイクを施され、⾐装を着た93名ものエキストラが参加する⼤規模な撮影が敢⾏された。

 また、『グラディエイター』を⽪切りに、10作以上もスコット監督と作品を作り上げ、『オデッセイ』ではアカデミー賞にもノミネートされたプロダクションデザイナーのアーサー・マックスは、稀有な技術を持つ職⼈たちと共に、中世に残された城の壁やアーチ道に使われていた⼯具の痕跡をも忠実に再現するセットも作り上げた。

 マックスは「城の壁やアーチ道のブロックを形成するのに用いられた工具が残した痕跡はとても独特なものがあるので、これを写真に撮影して、左官さんたちにはこれを複製した工具を使っていただきました。ふくらみや垂れ下りなど、時とともに加わる変化を見事に再現する、素晴らしい仕事を彼らはしてくれました」とコメント。

 また、本作において工夫した点について「本当に古めかしいものと、最近のものとの間にバランスが必要なのですが、わたしたちとしては、とにかく新しく見えるものは全部ナシにしたかった。人々の心の中で、古い中世の世界が見える時には、何もかもが古く見えるように意識されるので、そこには古い、さらに古い、最も古いがあっても、新しいものは何もあってはいけない。そこのあたりを観客が何も意識しないということになれば、わたしたちが上手く仕事をできたという証明になります」と語った。

 加えて、『グラディエイター』でアカデミー賞を受賞した⾐装デザイナーのジャンティ・イエーツは、甲冑をしっかり着こむ登場⼈物たちの⾐装を初めてデザイン。完全な⼀式として14世紀から残っている甲冑はもはや存在しないため、ニューヨーク市のメトロポリタン美術館に展⽰されている、「ファウネストック」の名で呼ばれている様式の中世甲冑からインスピレーションを引き出した。

 イェーツは「基本から始めます。まず彼らにシャツ、ズボン、リネンのチュニックとブーツ、それから皮のアーミングジャケット、それに引き続いて鎖帷子の長袖、および鎖帷子の小袖とスカートを着せるのです。それから、皮の胴着とクローク、そして皮のキャップ帽、鎖帷子のフード、ヘルメット、ガントレットという完全な装甲姿に彼らになってもらいました」と、衣装作りのプロセスを明かす。

 上半⾝部分では鉄製プレートが重なり合いながら鎖帷⼦と組み合い、その上には戦⼠の家⾨の紋章が縫いこまれている、袖のないコート部分があるという造りで、カルージュ、ル・グリが着る決闘⽤の甲冑は、⾃動⾞のバンパーに似たプラスチックを素材に造られている。鎖帷⼦もプラスチック製で、実はスコット監督の『キングダム・オブ・ヘブン』でも採⽤された。

 このような本作のための甲冑⼀式は、スタンドインやスタントダブルたちが、まったく同⼀の⾐装を着こむ必要があるのに加え、⾺上での槍の激突が進むに連れて⽣じる損傷を表現するために、8組も⽤意された。

 その他にも、アカデミー賞受賞の撮影監督ダリウス・ウォルスキー、アカデミー賞受賞編集クレア・シンプソン、作曲家ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ、視覚効果スーパーバイザーのゲイリー・ブロズニッチ、およびジェシカ・ノーマンなど豪華なスタッフが集結し、作品を作り上げた。

 なお、本作の撮影をスタートさせたフランス南⻄部に位置するペリゴール・ノワール地⽅は、スコット監督が1976年に⾃⾝初の⻑編映画『デュエリスト/決闘者』を撮影した場所でもある。

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■公開情報
『最後の決闘裁判』
全国公開中
監督:リドリー・スコット
脚本:ニコール・ホロフセナー、マット・デイモン、ベン・アフレック
原作:エリック・ジェイガー(『決闘裁判 世界を変えた法廷スキャンダル』)
出演:ジョディ・カマー、マット・デイモン、アダム・ドライバー、ベン・アフレック
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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