『おかえりモネ』菅波から百音への百点満点の「がんばれ」 鈴木京香の圧巻の演技も

『おかえりモネ』が描いてきた“気象と心”

 その百音の優しい呼びかけをきっかけに、あかり(伊東蒼)と亜哉子(鈴木京香)が6年ぶりの再会を果たす。学校をサボった彼女を叱るわけでもなく、一緒に悪戯をした子供のように笑う亜哉子。元担任の彼女に、あかりはずっと心の内に溜めていたものを吐き出す。それは取り止めもない言葉だけど、それで良い。それでも十分に伝わるから。「言えてよかった」、「言ってもらってよかった」と肩を抱いて涙を流す、あかりと亜哉子。

 あかりの痛みの打ち明けは、亜哉子に連鎖していく。“あの時”、あかりたち生徒を守る立場だった彼女が、自分の家族の心配をして彼らを置いていこうと、学校から出ようとした、と言う。台所で立ちすくみ、息が詰まって苦しそうに胸元に手を当てていた様子に、まさか心臓発作でも起きたのかと一瞬思ってしまったほど。

 台詞からも、“痛み”が痛いほど伝わって仕方ない鈴木京香の圧巻の演技に、つられてこちらも涙を滲ませてしまった。百音も菅波も、これまでの登場人物も決して痛みを払拭したわけではないけど、他人と共有したことで前向きに捉える糸口を掴んできた。亜哉子含め、気仙沼の主要人物がこれからいかに胸に秘めた“痛み”を告白していけるかが、最終話までに重要なことかもしれない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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