『おかえりモネ』亮が放った強烈な一言 「綺麗事にしか聞こえない」に百音はどう応える?

『おかえりモネ』亮の強烈な一言

 気象予報士・永浦百音(清原果耶)の声が、コミュニティFMを通して地元の人たちに届いた。BGMに選んだのは、高校時代に幼なじみたちと奏でた「アメリカン・パトロール」。ブラスバンドの軽快なメロディが新章の開幕、そして百音が複雑な思いを乗り越えて地元に帰ってきたことを告げる。

 しかし、『おかえりモネ』(NHK総合)第98話で、亮(永瀬廉)が百音に告げた言葉は意外なものだった。

 気仙沼の市民プラザを拠点に、主に平日朝と夕方の気象情報番組でパーソナリティを務めることになった百音。市民の生活に役立つ気象情報を伝えたいと意気込むが、肝心のリスナーから最初に届いたのは何と“クレーム”。

「水産業に従事されている皆さまへの予報です。特に漁業関係者の方、本日気仙沼湾はうねりを伴った高い波にご注意ください」

 ふむふむ、なるほど。「続きまして、農業へ従事されている皆様への予報です」。産業別の気象情報を丁寧に伝えていて、わかりやすい。「続きまして、復興まちづくり工事に従事されている…」。あれ、まだ続くのね。「続きまして、防災に関する…」。んん……? どこまでやるんだろう。百音の気象情報はその後も続き、結果「天気ばかり詳しく放送しすぎる」という声が挙がったのだ。

 目的に向かって一直線に進む姿を見ていると、水の怖さばかりを番組の視聴者に伝えてしまった気象予報士なりたての百音を思い出す。もちろんあの頃よりも情報は精査されていて、百音の声も安心感がある。内容もたしかに地域密着型の役立つ情報だ。だけど聞いている側が楽しいかと言われると、そうではないだろう。

 いかに多くの人が耳を傾けたくなるような放送をつくっていくか。そんな最初の課題にぶち当たった百音の話を、三生(前田航基)や悠人(高田彪我)がお酒を呑みながら聞く。失敗を笑い飛ばしてくれる幼なじみの存在は心強い。直接アドバイスしてくれる上司もおらず、地方営業所でただ一人模索していくしかない百音にとって大きな支えになるはずだ。

 そこに未知(蒔田彩珠)が車で迎えに行った仕事終わりの亮が現れる。カキ棚の修復作業の時も感じたことだが、未知と亮、2人の間に流れる空気は以前と明らかに変化した。それがよく現れているのが、2人の口から百音の知らないそれぞれの情報が飛び出してきた場面だ。未知が以外にも“ザル”なこと、そして亮が船を買うためにお金を貯めていること。幼なじみという枠を超えて、2人がそばで支え合っていることがわかる。

 だけど同時に、周りが突っ込みたくても突っ込めない微妙な距離も感じてしまった。長年寄り添った夫婦のように見えなくもないが、そこに少しでも衝撃を与えると壊れてしまいそうな、ガラス細工のように繊細な関係。そして今、その“衝撃”を与えかねない百音が地元に戻ってきた。不穏な空気が複雑な思いで百音を見つめる亮、そんな2人から思わず目を逸らしてしまう未知の表情から伝わってくる。

 さらに思わず息が止まってしまいそうになったのは、地元のために働きたいという百音に対する亮の一言だ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる