『おかえりモネ』で“若き者たち”の悩みを体現 前田航基と高田彪我が果たす役割

前田航基と高田彪我、朝ドラで果たす役割

 『おかえりモネ』(NHK総合)第16週「若き者たち」では、ヒロイン・百音(清原果耶)と幼なじみ4人が久々に一堂に会するようだ。仙台の大学に通う三生(前田航基)と悠人(高田彪我)も東京に駆けつける。

 この2人の共通点は、今は地元を離れて学生生活を謳歌しているものの、共に地元の気仙沼で将来働く可能性が非常に高いことだ。三生は地元で1000年続く寺の跡取り息子で、自身の決められた将来に反発しつつも、進むべき道に迷っているナイーブな一面を持ち合わせている。

 亮(永瀬廉)が以前、三生がお寺を継ぐことに疑問を抱き始めたきっかけについて「生半可じゃないってわかったからじゃないの。寺、きつかったと思うし、あん時。オレら見てないけど、三生は見てただろうし」と示唆していたが、三生にはこんな形で東日本大震災の傷跡が深く影を落としているのだ。金髪にピアスでバンド活動や、今はラップに精を出しているようだが、それも彼なりの“寺”を継ぐ以外の道を必死に模索してのことなのだろうし、一旦わかりやすく“由緒正しい寺の跡取り”から連想する姿と対局のところに身を置こうとしているのかもしれない。本作がこれまでずっと教えてきてくれた通り、苦しみの乗り越え方は人それぞれで様々だろう。

 一方、しっかり者だがマイペースな悠人は公務員家庭に育ち、自身も将来は地域のために働くことを目指しているという役どころ。彼だけ一人時間が流れるスピードが周囲よりも明らかにゆっくりとしており、幼なじみ同士で集まった時にもバランサーの役割を知らず知らずのうちに果たしているように思える。高田自身が纏う中性的で優しげで楽しげな雰囲気も相まって、誰にも決断や「正解」を迫ることをしないキャラクターが一人いることの安心感は大きい。

 また彼ならばきっと誰との間に沈黙が流れても気まずくはならないような、ただただそこにいてくれるだけで醸成される「安心感」も感じられる。それはきっと幼なじみたちが様々な岐路に立たされ進路や自分の家族との関係に悩みながら“早くもっと前進しなきゃ”と葛藤する中、「焦らなくてもいいよ」「そのままでもいいんじゃない」と暗に言ってくれるような中立的な役割を静かに担っているようにも思える。解決策を一緒に考えてくれたり助言をくれるだけが“友達”ではないし、深い事情も聞かず詮索することもしないで、特に慰めの言葉を掛けてくれるでもなくただ一緒にそこにいてくれるだけで救われることだってある。三生も悠人もそうだが、ただ同じ時間を過ごしている内に、一緒に笑い合っている内に“もうこんなことで悩むのもバカバカしいかも。もういいや!”と思わせてくれる、吹っ切れさせてくれる力があるようにも思える。亮もテレビ電話で彼ら2人の様子を見て、思わず「楽しいなぁ」とこぼしていた。

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