TBSが日曜劇場で大手制作会社とタッグ 阿部寛×横浜流星『DCU』で海外ドラマに対抗?

TBS『DCU』で海外ドラマ対抗なるか?

 キャストも重要だ。ドラマの“顔”になる主人公には、演技力はもちろんのこと、作品の世界観を体現する存在感が要求される。『TOKYO MER』や『半沢直樹』について言うなら、鈴木亮平、堺雅人という適役を得たことが成功の大きな要因だった。『DCU』で主演を務める阿部寛は、2010年4月期の『新参者』(TBS系)、2015年10月期、2018年10月期の『下町ロケット』(TBS系)、2021年4月期の『ドラゴン桜』(TBS系)に続いて、今作が日曜劇場5作目の登板。まさに同枠の“顔”と呼べる存在だが、それだけではない。海外展開を視野に入れた『DCU』で、阿部を主役に据えたことには必然性がある。

 189センチの体格と彫りの深い顔立ちから「日本人離れしている」とも評される阿部は、2012年公開の映画『テルマエ・ロマエ』で、主人公の浴場設計技師ルシウスを演じた。古代ローマを舞台にした同作は、イタリアで開催されたウディネ・ファーイースト映画祭「マイムービーズ賞」を受賞し、イタリア全土での配給も決定。正式招待されたトロント国際映画祭では観客のスタンディングオベーションを受けた。コメディ要素が強いことを差し引いても阿部の存在感は際立っており、国際的に通用する俳優であることを証明した。また、16年前の前作『ドラゴン桜』が韓国でリメイクされたことや、『下町ロケット』、『結婚できない男』(カンテレ・フジテレビ系)、スペシャルドラマや映画でシリーズ化された『TRICK』(テレビ朝日系)、『新参者』など、阿部は続編請負人としても知られている。海外との共同制作という新たなチャレンジを託すとしたらこの人以外考えられない。

 横浜流星の起用にも注目したい。空手有段者で国際大会の優勝歴のある横浜は、アクションスターとしての資質は若手随一。これまでにも舞台や映像で華麗な足さばきを披露してきた。『DCU』撮影前にスキューバダイビングのライセンスを取得し、熟練の阿部を支えて、その非凡な才能を発揮してくれることだろう。共演陣にも高橋光臣や山崎育三郎、春風亭昇太ら日曜劇場でおなじみの顔ぶれが勢ぞろいし、同枠をリードしてきた伊與田英徳プロデューサーの下、鉄壁の布陣で撮影に臨む。アクションとシナリオを強化した日本初の海外ドラマとして、日曜劇場のさらなる快進撃を期待したい。

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