『おかえりモネ』高村が伝える“予測”の重要性 朝岡、龍己のさりげないカッコよさも

『おかえりモネ』高村が伝える予測の重要性

 台風12号が上陸し関東を直撃した『おかえりモネ』(NHK総合)第89話。冒頭から、百音(清原果耶)たちは局で消防と連絡をとっている。これは、特に怪我人や浸水の情報といった、被害状況を把握しようとしているのだ。関東圏においては未曾有の規模感の台風に、気象班もつい「現在進行形で起こっている危険」を伝えて視聴者を守ろうとする。しかし、そんな彼らを高村(高岡早紀)の言葉が導く。

「被害報道はニュースが責任をもって伝える。しかし、私たちが伝えるべきは“予測”。起こったことではなく、これから起きる被害を最小限に食い止めること」

 確かに、大型の台風が上陸するたびに氾濫した河川や土砂崩れなどの派手な被害を映した映像がテレビの各局で放送される。もちろん、それも大事な報道ではあるがその迫力に気をとられてばかりで、それが一体何時間前の状況なのかを見極めることは難しい。その時、命を守るために最も優先的に考えなくてはいけないことはいつだって、“今、そしてこれからどうするべきか”なのだ。意識しなければ忘れてしまう大切なことを、高村は伝える側だけでなく伝えられる側である私たちにも喚起してくれたように思う。

 ここ最近の高村のいい上司っぷりが、とにかく目覚ましい。彼女は常に冷静で、感情的になっている現場を落ち着かせながら、少し立ち止まって考えさせられるような金言で、莉子(今田美桜)をはじめとする気象班のみんなを奮い立たせてきた。そして、今日の放送でより一層、彼女と朝岡(西島秀俊)が上司として違う機能を果たす存在であることが何となく見えてきた。

 朝岡はどちらかといえば、個人プレーが強い。長年にわたるキャスターとしての経験則、そしてデータ分析能力の高さの右に出る者はいない。言ってしまえば“天才肌”タイプなのだと思う。自由気ままに、自分が今一番興味を持っていることに集中しがちで、スポーツ気象部を立ち上げた頃にもその様子がうかがえた。ところが、その時も自分が言い出したことではあるが百音に鮫島(菅原小春)の予選大会までの密着と、当日の付き添いまで全て任せ切っていた部分も。基本的に「みなさん、僕が心配しないでもできますね? よろしくお願いします」といった具合だ。

 一方、高村はもう少し努力型のチームプレーヤー。彼女自身が女性という立場で苦労してきた部分も多く、より確実に冷静に物事を進めていくタイプのように思える。そしてめちゃくちゃサバサバしているのに、なんだかんだ誰よりも気象班に目を配っていつも様子を見にきて助言をしている。距離感も抜群だし、部下に対する言葉は常に自分自身で物事を解決させるようなものである。一生ついていきたい。

 そんな高村と朝岡のファインプレーが絡み合い、長野県の番場川の大規模な氾濫が予測された。百音の元に電話をかけてきた五十嵐おばあちゃんは、『あなたの番です』(日本テレビ系)でも強い存在感を発した大方斐紗子。地域に伝わる言い伝えの本質が、災害など何か悪いことから住民を守るものであることについても触れていて、話の運び方に丁寧さを感じた。



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