日本でコメディは冷遇されがち？　未上陸の作品多数、エミー賞コメディ部門を解説

文＝長内那由多（Nayuta Osanai）

　今年のエミー賞は「なんでこれが？」というノミネーションが多く、『エミリー、パリへ行く』もその筆頭に挙げられている1本だ。パリへ出張したマーケティング会社勤務のヒロインが、アイデアとInstagramを駆使して様々なクライアントの要望に応えていく。1話30分というフォーマットが見やすく、Netflixで定期的にラブコメ映画を摂取したくなるファンのニーズにはピッタリだろう。しかし“フランス人はスケベで意地悪”というあまりにステレオタイプな描き方や、なぜかバックボーンが一切描かれないヒロインの人物描写など、その“軽さ”が良くも悪くも目立つ作品でもある。

　本命は20ノミネートを獲得したAppleTV＋の『テッド・ラッソ：破天荒コーチがゆく』だろう。オフサイドも知らないサッカー未経験の監督テッド・ラッソが、ひょんな事から英プレミアリーグの弱小クラブで指揮を執る事になる。ズブの素人であるラッソにチームもサポーターも懐疑的だが、いかなる時もポジティブシンキングを忘れない彼の“Kindness”はやがて周囲の人々を動かしていく。観る者の心を軽やかにする、実に気持ちのいい好編だ。主演のジェイソン・サダイキスをはじめ、キャスト陣の楽し気なアンサンブルが見どころで、演技賞では7人がノミネートされている。特に『ゲーム・オブ・スローンズ』の「Shame」でおなじみ、セプタ・ユネラで知られる名女優ハンナ・ワディンガムのゴージャスでキュートなコメディエンヌぶりにはびっくりする事だろう。現在、シーズン2が配信されている。

　受賞式は日本時間9月20日、今年はU-NEXTでライブ配信される。これをきっかけに日本未上陸の作品も日本に入ってくることを期待したい。

■配信情報
『フライト・アテンダントシーズン1』
U-NEXTにて見放題独占配信
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『コミンスキー・メソッド』
Netflixにて配信中
出演：マイケル・ダグラス、サラ・ベイカー、ナンシー・トラヴィス、キャスリーン・ターナー、ポール・ライザー、エミリー・オスメント、リサ・エデルスタイン、グレアム・ロジャース、ハーレイ・ジョエル・オスメント
脚本：チャック・ロリー
製作総指揮：チャック・ロリー、マイケル・ダグラス、アル・ヒギンズ
監督：アンディ・テナント、ベス・マッカーシー＝ミラー、チャック・ロリー

『コブラ会』シーズン3
Netflixにて独占配信中

『エミリー、パリへ行く』
Netflixにて配信中
(c)STEPHANIE BRANCHU/NETFLIX