日本でコメディは冷遇されがち? 未上陸の作品多数、エミー賞コメディ部門を解説

日本でコメディは冷遇されがち?

 エミー賞にてHBOの連覇が続くドラマシリーズに対し、2017年以来、毎年受賞作が入れ替わる激戦区がコメディシリーズ部門だ。ひとくちにコメディといっても、1950年代を舞台に女芸人の一代記を描いた『マーベラス・ミセス・メイゼル』や、30代独身女性の赤裸々すぎるセックスと孤独を描いた『フリーバッグ』などバラエティ豊か。ドラマシリーズとの線引きは難しく、“ドラメディ”と呼ばれることもある。PeakTVにおいてもっとも多様な進化を続けているのがこのジャンルなのだ。

 事実、今年9ノミネートを獲得している『フライト・アテンダント』は国際線CAのヒロインが殺人事件に巻き込まれるヒッチコック風のスリラーで、スリルも血の量もたっぷりだ。アルコール中毒の主人公が次から次へとすっとんきょうな行動を繰り広げるところに可笑しさがあり、プロデュースも兼任している主演ケイリー・クオコ(『ビッグバン セオリー』)の大車輪の演技が光る。主演女優賞の有力候補だろう。

『フライト・アテンダント シーズン1』(c)2021 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserved. HBO MaxTM is used under license.

 そして映画同様、コメディはここ日本で冷遇されがちなジャンルでもある。15ノミネートの『Hacks(原題)』、Huluの『pen15(原題)』 、シーズン7となる『Black-ish(原題)』と作品賞ノミネート8作品中、3作品がこのストリーミング全盛時代に未だ日本未上陸なのだ。これを多いと取るか少ないと取るかは任せるが、これでは一応の受賞予想という建前である本稿が成り立たなくなってしまう。特に『メア・オブ・イーストタウン』とのダブルノミネートとなった『Hacks』のジーン・スマートは、今年の主演女優賞最有力候補ではないか? 古くは『24』から近年『ファーゴ』『レギオン』『ウォッチメン』と話題作に立て続けに出演するTV界の大女優である。

『コミンスキー・メソッド』Netflixにて配信中

 Netflixは3作品を送り込んで気を吐いた。今回でファイナルとなる『コミンスキー・メソッド』はダブル主演の1人であるアラン・アーキンが離脱。シーズンも全6エピソードに短縮され、やや尻すぼみ感のある構成だが、おかげでマイケル・ダグラス扮するアクティングコーチ、サンディの物語に焦点が当たった。ダグラスは老いてますます味わい深く、サンディが再び演技への情熱を取り戻す姿を感動的に演じている。主演男優賞ノミネートも当然だろう。

『コブラ会』Netflix配信中

 6ノミネートの『コブラ会』はなんと1984年に公開された映画『ベスト・キッド』の続編。34年前、ラルフ・マッチオ演じるダニエルに敗れたジョニー(ウィリアム・ザブカ)を主人公に、彼の再起が描かれる。2018年にスタートしながら既にシーズン4まで撮影済みという人気ぶりで、Netflixの新たな看板タイトルとなった。



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