『うきわ』女たちの逃避行が終焉に 西田尚美が芝居でみせる“不倫する側の葛藤”

『うきわ』女たちの逃避行が終焉に

 麻衣子(門脇麦)にとっての“うきわ”だった二葉さん(森山直太朗)が、同じように彼にとってもまた麻衣子が“うきわ”だったと気づく『うきわ ―友達以上、不倫未満―』(テレビ東京系)第6話。そして、2人の女性の逃避行がひとまず終わりを迎えたようだ。

 まずは、二葉さんの妻・聖(西田尚美)が田宮先生(田中樹)の陶芸教室を休会。「あんなにハマってたのに?」と聞き返す二葉さんに、「もう十分かな? もっとやるべきことがあるし。もっと優先したいことがわかったから。夫婦の時間とか」と答える。心なしか、聖の顔には以前よりも笑顔が増えた気がする一方で、二葉さんは何やら浮かない表情を見せる。自分の妻がとびっきりの笑顔を別の相手に向けているのを目の当たりにしてしまった二葉さんは以前、麻衣子に「不倫相手に感謝しなくちゃいけないのかもしれない。妻に笑顔を取り戻させてくれたんだから」というようなことをこぼしていた。自分では妻からあの満開の笑顔を引き出すことはできないと思っているのかもしれないし、あっさり無傷で戻ってきたかに見えた妻のことが少し憎らしくもあるのかもしれない。

 聖役の西田は、最近では『コントが始まる』(日本テレビ系)で瞬太(神木隆之介)の厳格な母親役を熱演し、不器用な母子関係を見せてくれ視聴者の涙を誘った。そういえば『凪のお暇』(TBS系)でも我聞慎二(高橋一生)の年齢不詳な母親役を好演していた。『半沢直樹』(TBS系)では“鉄の女”の異名を持つやり手女性バンカーを演じ、何かに迷いながら、何かに縛られながらもそれを振り切って前進しようとする強い女性役が続いているように思える。だからこそ、本作でも年下男性と不倫する人妻役とあってもそれが奔放な女性像には繋がらず単にセンセーショナルなだけにもならず、そこにあるどうしようもない苦悩や葛藤を滲ませてくれるのだろう。

 2人目は夫・たっくん(大東駿介)の不倫相手の福田さん(蓮佛美沙子)で、社宅の納涼祭で麻衣子と遂に対面を果たす。

 エリート彼氏がいながら、たっくんと一緒にいる理由を「彼氏は私にとって武器みたいなものだから」「女が社会で勝つためには必要なものがたくさんあるんだよ。そういういうの考えずにただ恋愛できるから」と打ち明けていた福田さんだったが、彼女からはしょっちゅう「勝たなければいけない」という言葉が口をついて出る。

 今とは違ってどこか垢抜けない、そして真面目な様子が伝わってくる“何も持たない”学生時代の彼女が、今と同じく皆の中心にいるたっくんにほのかに恋心を抱いていた様子も描かれたが、もしかすると彼だけが彼女にとって明確に手に入れたかったけれど手に入らなかったものなのかもしれない。

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