『かのきれ』でも印象的だった“雨ハグ” ドラマで恋愛中の男女はなぜ雨に濡れたがるのか

ドラマで恋愛中の男女はなぜ雨に濡れたがる

“恋雨シーン”がなくなりつつある切ない理由

 さて、そんな流れの中で特に韓国ドラマにおいて大雨に打たれるカップルシーンが多い理由に、韓国で最も有名な短編小説『ソナギ』の存在があると言われている。ソナギとは夕立という意味で、この小説には夕立に遭った若い男女が雨宿りをする中、お互いを意識するという描写がある。そこから、人々が雨に“恋が芽生える瞬間”を連想させるようになったという説もあるのだ。確かに、ドラマに限らずクァク・ジェヨン監督の『ラブストーリー』や、イ・ジェハン監督の『私の頭の中の消しゴム』でも名雨シーンが印象的だった。

 

 『かのきれ』にとどまらず、日本の恋愛ドラマにも雨の告白シーンがお決まりといっていいほど登場してきた。しかし、興味深いことにその数は今かなり減ってきているのだそう。2019年5月15日放送の『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)で明かされたその原因は、「莫大なコストがかかるから」という理由らしい。確かに、景気がよかったころのトレンディドラマの方が雨は降りまくっていたかもしれない。大雨のシーンは役者の立ち位置に大量の水を降り注いでいて、側から見たら笑ってしまうくらいロマンチックではない。しかし、“画面の中で”最高にロマンチックなショットを撮るためにはたくさんの機材も必要とされ、その費用がかなり高いとのこと。昨今の視聴率低下傾向、コロナ禍の番組制作下においてコスト削減は各局で叫ばれているはず。そんな環境の中で、あの美しい激情的な雨の中のハグシーンを見せてくれた『かのきれ』には頭が上がらないものだ。今後も恋愛ドラマの雨シーンを今以上にも注目してみると、様々なことが見られて面白いかもしれない。

■放送情報
『彼女はキレイだった』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:中島健人、小芝風花、赤楚衛二、佐久間由衣、高橋優斗(HiHi Jets/ジャニーズJr. ※「高」ははしごだかが正式表記)、宇垣美里、寒川綾奈、村瀬紗英、山田桃子、LiLiCo、木村祐一、菅原大吉、本多力、片瀬那奈ほか
原作:『彼女はキレイだった』(c)MBC/脚本 チョ・ソンヒ
脚本:清水友佳子、三浦希紗
音楽:橋本由香利
主題歌:Sexy Zone「夏のハイドレンジア」(Top J Records)
オープニング曲:Awesome City Club「夏の午後はコバルト」(cutting edge)
演出:紙谷楓、木下高男、松田祐輔
プロデューサー:萩原崇、芳川茜、渋谷英史
制作:カンテレ、共同テレビ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/kanokire/
公式Twitter:@kanokire
公式Instagram:@kanokire.tue21
長谷部宗介 by 中島健人Instagram:@k.n_sosuke.hasebe

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